第4話 精神錯乱と認知症
後藤のおじさんは翌朝救急車で病院に運ばれた。精神科だった。ビールの空き缶を抱えて何かわからない事を叫んでいたらしい。体に怪我はなかった。
あの時見えた巨大な影は何だったのだろう。その影にかじられてキチガイになってしまったんだろうか。僕にはわからないんだけど、あの家でキチガイになった人が二人になったのは事実なんだ。
僕は学校に行ったんだけど、昨夜の事が頭に焼き付いていて授業が身に入らなかった。寝不足だったこともあり体育の時に倒れてしまった。それで早退した。
ぼーっとしていたんだと思う。回り道すればよかったのにその家の前に来てしまった。
「やあ拓馬君。顔色が悪いね。大丈夫?」
「気分が悪いから早退したんだ」
なるべく平静を装って返事をする。
「そう、体には気を付けないとね。お大事に」
「さよなら」
僕は怖かった。あのままあそこにいたらどうにかなってしまいそうだった。でも、竜一君はうまく解放してくれたみたいだった。
その日の夜も僕は寝付けずにいた。見てはいけない気がしたんだけど窓を開けてその家を見た。
背の低いおばさんが悲鳴を上げていた。
両手にゴミの詰まったコンビニ袋を下げていたんだ。そして黒い巨大な影がおばさんに噛みついていた。
翌日の朝、そのおばさんは認知症の徘徊として保護された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます