まじめなあとがき
「運命を切り開くのは自分自身」
なんともありきたりなフレーズですが、これがこの作品のテーマであり、主人公・サキはこのテーマと共に成長していきました。筆者である私自身もこの2年間、サキと一緒に様々なことを悩みながら考えを深めていきました。そしてなんとか、自分で設定したテーマに対し自分なりの答えを出せたのかなと思います。
この作品は2部構成で、前半はサキが医師として独り立ちをするまでの歩み、後半はサキのルーツと幸せがテーマとなっています。この「幸せ」という言葉は、私がこの作品に取り組むうちに気づいたキーワードです。すなわち「なぜ人は運命に立ち向かい、切り開こうとするのか」という、作品のテーマの根っこに隠れていた疑問に応えてくれる一つの鍵なのです。
私達が街を歩いていると老若男女、色んな人とすれ違います。スーツ姿の社会人、制服姿の高校生、おしゃれな格好をした若者、帽子を被りベンチに腰掛けている高齢者。とにかく色んな人がいます。彼ら、彼女らはそれぞれ自分だけの人生を歩んでいて、その過程で得たもの失ったものは千差万別です。そして胸に抱く「幸せ」のイメージも皆違うでしょう。ただ一つ共通していることは、人は自分が信じる「幸せ」を得ようとして、日々を逞しく生きているということでしょう。ヒトと同等の脳髄をもつフレンズたちも同じように、自分だけの「幸せ」があるはずです。
人生を歩んでいると、必ずどこかで辛い運命に突き当たります。その運命から逃げ出すことは一つの立派な選択肢です。しかしそれでも、目の前に立ち塞がっている運命を切り開いた先に、自分の抱く幸せが在ると信じていたらどうでしょうか。
だからサキは闘うことを選んだのでしょう。サキは「普通のフレンズのように友達を作りたい」という「幸せ」を常に見つめ、セルリアンの手足という生まれつき背負わされた運命に立ち向かい続けたのです。
なぜ運命を切り開くのか。それは運命を征した先に幸せが眠っているから。
これが私がこの作品を通してたどり着いた答えです。この答えに気づいたのはちょうどカルテ5のサーバル編を書いている時でした。最終的にサーバルはサキにとって非常に印象深い患者となりましたが、私にとっても多くのことを気づかせてくれた人生の先輩となりました。サーバルだけではありません。他の患者達・フレンズ達からも色んなことを学ばせて頂きました。
サキの「幸せ物語」はここで一つの終わりを迎えました。けれどサキの人生はまだまだ続きます。普通のフレンズ・サキは次はどんな幸せを目指し歩き出すのでしょうか。楽しみです。
最後になりますが、2年間もの長期に渡りお付き合い頂き、読者の皆様には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
次回作があるかもしれないので、その時は何卒よろしくお願いいたします。
小向涼太 拝
あ、「ふまじめなあとがき」が後日上がります。
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