RPGっぽい異世界なう。
木船田ヒロマル
東武線、降りたら森。
うわ……マジか。
異世界にワープなう。
いつもの東武線。駅は北越谷。
ホームの段差いつもより高いなーとか思いながら電車を降りたら見知らぬ森。
足元下草生えた地面。
JR影も形もねーし。
時間帯は夕暮れ。
赤い空の下、黒々と広がる森。
カラスに似た鳥の鳴き声。
なにこれ幻覚?
にしては大分生々しい。
足元の地面の感じ。風の、空気の土っぽい匂い。
え、なにこれどうしたらいいの?
やっべマジやべえ。
いやナシだろナシ。
森はどんどん暗くなるし、信じらんないけど肌寒い。今8月だろ? ここじゃ違うのか?
死ぬかと思った! 死ぬかと思った!
いや、結果的に助かったんだけど。
人家か大きな道でもないかと、当てどなく森の中彷徨う内に、なんかスライム的な怪物に襲われて喰われそうになった。なんかゾゾゾッて俺がダッシュするより全然はえーの。そこはさ、駆け出しでも倒せる範囲のあれとかだと思うじゃん? ガチだよこれガチ。死ぬ。
どうして助かったのかというと、革の鎧っぽいもの装備した髭の戦士っぽい人がどっからともなく現れて、スライムのコアっぽい器官? を一撃で叩き潰してやっつけてくれたんだよね。
んで、今はその人の松明の灯りを頼りに森を歩いてる。
異世界? の戦士の人、なんか喋ってるけど何言ってるか全然わからん。英語ではない……と、思う。付いて来いっていう素ぶりだったから付いて来たけど……大丈夫だよな。なんか悪い人じゃなさそうな感じなんだよな。
に、しても何故iphoneはネットに繋がるんだ……?
あ、ソフトバンクのwifiに繋がってるっぽいな。どういうことだよ。どう見てもソフトバンクどころか電気のインフラすらあるようにゃみ見えねえぞ。
ダメだ。wifiはマックスなのに電話は掛からないしメールもダメ。何故カクヨムだけ書き込める……?
頭バグったのか? めっちゃ拗らせた夢? にしては生々しいし、とにかく解像度が高過ぎる。そして長い。夢なら覚めてくれ。
戦士の人、野営するっぽい。
雰囲気で察して、焚き木拾いとか手伝う。
焚き火で携帯食に火を通して食べるらしいが、着火は火打ち石だったぞ。チャッカマンでも出てくれば、この人の服のセンスがアレなだけで時代は現代の可能性もあったんだけど……。あ、いや。モンスターいるんだっけ。なにせ元いた俺の現実世界じゃない感じだよな……。
戦士の人、バリ硬のビーフジャーキーみたいなのを一切れくれた。硬いけどまあ噛めば食える。味はほぼ塩味。でも美味しかった。腹ペコだしね。
寒がる素ぶりしてたら、背負い袋からなんか被る布見たいのを一枚貸してくれた。
優しい! ありがとう戦士の人!
食事を終えて、戦士の人がゆーっくり話掛けてくれるが、本当に単語の一個も理解できん。溜息つかれた。
溜息は共通か。
戦士の人、自分の胸に手を当てて「アベェ。アベェ」と繰り返す。
名前? ……アベさんか。
真似して俺も自分の胸に手を当てて、「ヒロ」って名乗った。
アベさんは「ヒロ」って言葉を何度か繰り返して、覚えてくれたようだった。
今日はこれでこのまま寝るっぽい。
ここ安全なの? あの目玉ゼリーみたいなやつ来ない?
疲れた。足痛い。喉乾いた。南越谷に帰りてえ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます