夢の記憶

勝利だギューちゃん

第1話 再会

夢を見た・・・

一瞬だったような・・・数時間だったような・・・

今となってはわからない・・・

ただ、一つ言える事は、夢の最後の一言が、耳にこびりついている。

「あなたは、あなたのままでいて・・・」



気がつくと、僕は列車の中にいた・・・

車内には僕ひとりのボックスシート・・・

車窓に広がる風景は、まさしく田舎そのもの・・・

どうして、列車に乗っているのか・・・

必死に思いだしていた・・・


「だめだ・・・思いだせない・・・」

頭を抱える・・・


しばらくすると、車窓に海が見えてきた。

見渡す限りの水平線だ。

窓を開けて見入ってしまう。

風がとても、心地いい・・・


しばらくすると、終着駅についた・・・

嫌でもここで降りなくてはならない・・・

僕は列車を降りた。


この駅は無人駅らしく、駅員はいなかった・・・

ポケットを探ると、切符がはいっていた。

どうやら、意図的に乗ったのは、間違いなさそうだ・・・


改札口の回収箱に切符を入れる。


外へ出て、伸びをする。

「しばらく、ベンチで休むか・・・」

そう思った時・・・


「藤本くん」

声をする方向を見る。

そこには、懐かしい顔がいた。

「川内さん」

僕はおどろいた。


川内さんとは、去年まで高校のクラスメイトだった女の子。

確か親の都合で、引っ越したのだが、いきなりの再会に驚いた。


「元気だった?」

川内さんは、満面の笑みで答える。

「うん・・・川内さんは?」

「見ての通りだよ。約束通り、来てくれたんだね」

「約束?」

「何寝ぼけてるの?私が手紙をだしたら、「必ず行く」って、電話くれたじゃない。

もしかして、旅の疲れ?」

川内さんは、心配そうに覗き込んでくる。

「・・・うん・・・まあ・・・」


その場しのぎになるが、返事をした。

どうやら、川内さんに会いに行くという約束をしたらしいが、思いだせない・・・

何のために来たんだ・・・僕は・・・


「他に誰か、来るの?」

「ううん、藤本くんだけだよ。他には手紙書いてないもん」

「あっ、そう」


不思議だった。彼女、川内さんは天真爛漫で、誰からも好かれていた。

男女問わず、友達が多かった。

僕は正反対で、友達がいなかった。

そんな中、唯一話をしてくれたのが、川内さんだった。


最初はうざく思っていたが、気が付けば彼女に心を開いている自分が、そこにいた。

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