サンタからの贈り物

高峯紅亜

サンタからの贈り物


 僕はサンタなんて信じていない。


 バカバカしい、何がサンタクロースだ。


 ここ数年プレゼントなんて来なくなったし。


《サンタさんへ、もしあなたが実存するならば僕にビンタをしてください》


 それでも手紙を書いた、本当はサンタなんていないと知りながらも。


 ビンタを頼んだのは特に欲しいものが無く、パッと頭に浮かんだものだったから。


 自分は可哀想なやつだ、と内心思った。


 

 12月24日。サンタが来ると言われている日だ。


 僕はバッチリと両目を開いてサンタクロースの到来を待った。


 しかしサンタは一向に来ない。

 やっぱりね、サンタクロースなんて嘘だ。


 サササササッ


 誰かが歩く音がした。


 !?!??!


「誰だ」


 暗闇に向かって話すと意外にも返事が帰ってきた。


「サンタクロースである」


「貴方は想像上の生き物だ、本物ではない」


「いいえ、私は本当に存在しますよ。貴方は私に手紙を書いたでしょう」


 やはり、こいつは本当にサンタクロースなのか。


 でもサンタに手紙を書く奴らなんて世界中にいる。


「じゃあ僕は手紙になんて書きましたか」


 するとサンタは歩み寄ってきた。


 あ、これは僕にビンタをする気だな。受けて立つ。


 覚悟を決めながら、きゅっと目を瞑った。


 しばらくの沈黙。


 あれ、と思い目を恐る恐る開くとサンタがバービー人形を僕に差し出していた。


「ホッホッホ〜メリークリスマ〜ス!!!!!!」


 そう叫ぶと彼はトナカイ達と共に何処かへ飛んでいってしまった。




 朝。僕は目を覚ました。


 ハア、なんだ、夢か。


 本当に会えて嬉しかったのになあ。



 因みに僕は23歳、一人暮らし。

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サンタからの贈り物 高峯紅亜 @__miuu0521__

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