第14話リアを助ける方法

「アリシャー風呂行くわよ」



エリシアが新しい仲間に入ったアリシャに声をかける。



「ここは風呂まであるんの?」



「あるわよ、一人、銅貨2枚だけどね」



「それじゃあ、私も行きたいですが...着替えがないので行けないです」



「私の貸すわ、だから行きましょ」



「はい!ありがとうございますエリシア殿、竜二はどうするのだ?」



「俺も行こうかな風呂、久しぶりだからな」



俺は約1日ぶりの風呂だ、疲れも溜まっているので早く入ってさっぱりしたいものだ。



「竜二、覗いたら承知しないからね」



「覗かねぇーよ」



「エリシア殿、竜二がこちらをいやらしい目で見てますぞ」



だって、エリシアやアリシャが替えの下着を持ちながら風呂に行こうとしているのだから、目がいくのも無理はない。



「見てねーだろ!それより早く風呂行こうぜ」



俺たちは階段を降り二階の風呂場に到着した。

風呂場は男女に分かれており、中はでかい風呂が一つあり、シャワーが何個かある感じだ。

俺は椅子に座り、髪を洗う、この国にもシャンプーや石鹸があるのでそれを使う。



「きゃっっ、やめてよアリシャ、そんな所は...」



男女の風呂は壁で区切られてはいるが天井までは壁はないので声が筒抜けだ。



「何してんだか」



俺は一人髪を洗いながら呟く。



「だからやめてってよ」



「エリシア殿の胸はこんなにもボリューミーだったのだな、私とは比べものにならない」



エリシアは意識して見てはないが、胸はそれなりに大きかったはずだ、それに加えてアリシャはあまり胸がなかった気がする。



「アリシャ、やめっっ、あっ、いやっっそこは」



「そんな声を出して、エリシア殿は興奮しておるのだな、えっきゃっっ」



「興奮しっなっっきゃぁっっ」



エリシアの変な声が響き渡る。



「よくもやったなー!お返しだ!アリシャ!」



「やめーよ、やめっっ、エリシア殿そこは、あっっ、だめーっ」



「こっちはこっちで変な気持ちになってしまうんだが」



俺は髪を洗い終え、体を洗うことにするが、その時、窓からよく知っている顔が姿を現した。



「あれ、写ってる?やっとついたよ、ヤッホー竜二」



鏡の中からこちらを向いて微笑みかけているティシフォネの姿があった。



「お、お前!」



俺は立ち上がり鏡にうちっているティシフォネに指をさすが、



「あら、ふふ」



あそこが写ってしまった。俺はすぐさま手で隠す。



「ティシフォネなんで俺を騙したんだ!絶対にお前だけは許さない!」



「許さなくて構わないは、それより竜二に興味が湧いてきたの、なぜそんなに強くなったのかって」



「あれはお前が全てやったんだろ?」



「そうよ、Sランクモンスターを呼んだのも、リアちゃんも騙していたのもね、リアちゃんは記憶をいじっただけでも、なんでも言うことを聞いてくれたから死んで少し残念だわ、だけどそのかわり、竜二の絶望した顔を見れたのでそれで私は満足したけどね」



「お前は人の命をなんだと思っているんだ!リアはなお前に植え付けられた記憶でも、お前を恩人だと思っていたんだ。それをお前は裏切ったんだ。俺はリアの分まで絶対お前を殺してやる!」



「竜二の今の顔素敵だわ♡私を殺せるなら殺してみなさい、この場所にも竜二は来れないと思うけど、こんな話より私は竜二に提案があるから姿を現したの」



「あぁ殺すさ、だが嘘つきの言うことは聞けないな」



「この提案を受けてくれて、それを達成したらなんでも言うこと聞いてあげるよ」



「魔王のことは嘘だったんだよな?」



「いや、それは本当よあいつは厄介だから、それとは別件で私の娘を封印から解き放ってほしいんだ」



「お前は娘がいるのかよ!その娘が神ならここへおりられないんじゃなかったっけ?」



その幼い見た目で娘がいるとは全く予想がつかなかった。



「私の娘はハーフなの神と人間族の、だから天界と下界を行き来できる唯一の存在なんだ」



「なら、お前がなんとかすればいいだろ」



「だから、私は下界に降りられないんだってば!」



「本当になんでもなんだな?」



「なんでも一つ言うことを聞くよー」



「例えば、リアを生き返らせろとかは?」



もう元の世界に戻るということは最優先には出来ない、それは俺の自己満に過ぎないのだから。だけど、これも自己満かもしれない、リアは本当は嫌がっているかもしれない、でもリアに楽しいことをいっぱいしてやりたい、あんな短くて残酷な人生をおくらせてはならなかった、俺はリアを生きかえらしたいんだ。



「人を生き返らせるのは出来るけど、リアちゃんのは例外だからな〜、実体がこの世界にないから無理だね、だけど過去に戻すぐらいはできるよ」



「過去に戻るか、、。それでいい、で、お前の娘はどこにいるんだ?」



過去に戻ればリアを救える、今の力があればなんだって出来るんだ。



「えーと、南の最果てのサーラス洞窟というところの最深部に封印されているんだ」



「わかったぜ、もし嘘だと思ったら、お前の娘は殺すからな」



「神に脅しとはいい心構えだね、信じてもらって構わないよ、私の娘の命がかかっているんだから、それともし戻っても自分に憑依させられるだけで、今の力はその時のままだからね」



「それってタイムリープということ?」



俺は過去に戻って俺が過去の俺を助けることが出来ると思っていた、だけど、過去に戻っても過去の俺が今の俺になるわけだ、要約するとタイムリープが出来るというわけか。



「そうともいうわね」



「おう、構わねぇーよ、あの時を思え出せさえすれば俺は力に目覚めるからな、それでお前はその娘を使って何がしたい?」



リアが死んで俺は力に目覚めた、だからリアが死ぬ前までに力が目覚めればいいのだ、そのためにはあの力をいつでも出せるようにならないといけない。



「私の娘をどうこうするってのはないよ、ただ私は幼くして暗い洞窟の底に封印されてしまった娘を早く解放して欲しいんだ、外に出て、楽しく生きて欲しいって心から思うよ、竜二、君には娘を救う力がある、だから私は竜二に頼んだんだ」



「それを信じることは出来ないが、ただ過去に戻ればどうにだってなる、過去に戻ったらお前の娘を助けなくなってしまうかもしれないぞ?」



今の俺はリアの娘を助けるかもしれないだけど過去に戻ればエリシアともアリシャとも会っていない状態になるわけで、エリシアの娘を助けないかもしれない。



「それは構わぬ、この世界線では娘は生き続ける、それだけ構わぬ、竜二が過去に戻ってまで助けたいのなら別だが」



「そいつが本当にいい奴ならまた、過去に戻ってまで俺は助ける、だけど、悪い奴だったら切り捨てる、それだけだ」



そんな苦しんでいる女の子がいるなら助けたい、だけど、その子が世界に悪をもたらすというならそれは出来ないことだ。



「ありがとう、それで構わぬ」



ティシフォネは少し悲しそうで少し嬉しいそうな顔で笑った。



「期限とかあんのか?」



「いや、それはない、ただ早く助けて欲しいのだ」



「そうか、お前も案外、娘思いなんだな」



「当たり前だよ、私の大切な娘なんだからね」



「竜二ー、私たち先に部屋に戻ってるわねー」



風呂からもう上がったのか、扉越しにエリシアの声が届いた。



「俺ももう上がるから先戻ってくれ」



「わかったわ」



俺の返事を聞いて、扉越しにいたエリシアとアリシャの足音が遠ざかった。



「ティシフォネそれじゃ、またお前を殺すときに会おう」



「じゃあね!竜二!!」



そのままティシフォネの姿が薄れていき、最初見た、綺麗な鏡に戻った。

リアを助けに行くには時間がかかるかもしれない、でも絶対に助けにいく、それまで待っていてくれリア!!


夜空に珍しい流星が流れたのだった。




俺は風呂に浸かり、部屋に戻っていった。


俺が部屋に戻ってくるときには二人はベットで抱き合って寝ていた。



「いつの間にこんなに仲良くなったのか、微笑ましいことだ、二人とも疲れていたのだな、てか俺の寝る場所なくね⁉︎」



二人とも気持ちよさそうに寝ているが、俺の寝場所がなくなっている、ベットの中央で抱き合って寝ているので、無理やり端のスペースに寝ることもできなくはないが、その時は俺も抱き合って寝ないといけなくなる。

俺はしょうがなく、ベットの下の床で寝ることにしたのだった。

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