凍結渚の椅子
月啼人鳥
アンタレス夜行
暗藍の海辺。
夜空の薄明。
連なった山の尾根が、街の明かりを切り取っている。
光景は長く横たわり、深くから来る地球のエコーが響いていた。
波打ち際の濡れた砂は銀河に似て輝き、空にある星明りは人の命に似て儚い。
人は雲のように生まれては消え、その全てを見届けられる者はいない。
「だからね、あなたと出会えたことは、本当に奇跡だと思ってるの」
「……やめようよ、そんな大げさな言い方」
彼女のことが好きだ。この上なく愛おしい。
「来世でキミのコト探すの、大変になっちゃいそうで、怖くなる」
見た目と比べると、頭の中が案外メルヘンなところとか、特に。
彼女と出会った日のことは、今も色褪せないで思い出せる。
家の人たちが寝静まった夜中。私は屋敷を抜け出した。
私にとってあの広い屋敷は、とても窮屈で、退屈だったのだ。
人々は口々に、私が特別で、大切だというけれど、それが私を制御するための慣用句に過ぎないことを悟ってから、私は夜に抜け出すようになった。夜空に浮かぶ星だけが、私のことを矮小で、取るに足らない存在だと見下ろし、しかし今は自由だと言ってくれたから。
人があまり通らない海沿いの道は、私の散歩コースだった。延々と海岸線が続いていて、絶え間なく波音が耳を洗ってくれる。海辺に迫った岩崖が投げ返す波音を、ステレオで聴くのが好きだった。潮風は自由の香りがした。
その音の中に混ざっていた。
「……?」
誰かの泣き声。たぶん女の子の。
周囲を見回してみれば、すぐに見つかった。道路脇の防波堤の上で女の子が泣いていた。思い返せばちょっとしたホラーだった。
「あなた、どうしたの?」
「ぐすっ……えっ……?」
まさか声をかけられるとは思っていなかったのだろう。おまけに、自分よりも年下の女の子に。こんな夜中に。
「迷子? それとも、別の理由で家に帰れないの?」
「……帰りたくない……泣いてると、また呆れられるから。情けないって」
彼女は近所の中学校の制服を着ていた。たぶん一年生だ。だからわたしとは一つ違い。
よく今まで補導されなかったなと思う。放っておく親も親だ。抜け出してきている私が言えるセリフではないが。
「そう! なら、私とお話しましょう? そっちに行くから、待っていて」
「え……?」
彼女の返事を待たずに、私は最寄りの階段から防波堤に上がった。
「あなた、名前は? おうちはどこ? どうしてこんなところにいるの? 泣いているのはどうして?」
矢継ぎ早の問いかけに、彼女は少し戸惑ったようだった。
だけど彼女は、その一つ一つの質問をしっかり把握していて、ひとつずつ答えてくれた。
そのあともたくさんのことを話した。内容は一言一句覚えている。
だけど最も印象的だったのは、彼女が浮かべる笑顔だった。それを引き出すまでは少し時間がかかったけれど、その価値が確かにあったと思う。私はすっかり、彼女のその笑顔に、心を射抜かれてしまっていたのだ。
「ねぇ、私の友達になって? また会いたいの」
あの頃の私たちの夜行は、アンタレスの光の下にあった。
彼の星の情熱的な赤の煌めきは、時に春の陽のように、時に炎のように私たちを照らし、そして導いてくれていた。
「バドミントン」
「そう、バドミントン。知ってる?」
バドミントンを知らないほど世間知らずではさすがにない。私を何だと思っているのか。
「同級生の子たち、強くって。全然勝てないんだ。先輩たちとかもう怪物? ってレベル」
「ふぅん……あの公立中、そんなに強いのね」
「だから私は負けてばっかりで、悔しくって」
「それで泣いていたの?」
気恥ずかしそうに彼女は頬を掻いた。
「恥ずかしいところを見られちゃったね」
「別に、そうは思わないわ」
時にそういうときは必要なのだと思う。私が夜に時折抜け出すように、涙だってたまには、外の空気を吸いたくなるのだろう。
「むしろ、いつでも涙を流せるくらいにしておいた方がいいわ」
「そ、そうかな……ホントにあたしより年下?」
「どうしてそんなに疑うの……? ひ、ひどいわ……うぅ……ふぇぇ……!」
「わあああ!? ちょ、泣っ、泣かなっ!」
「と、いう感じに、ね」
「ウソ泣きぃ!」
些細なやり取りが心地よい。
屋敷や教室で感じる息苦しさは微塵も無かった。彼女の一挙手一投足が新鮮で、活き活きとして見えて、楽し気で、こちらの方もつられて心が弾んでしまう。防波堤に腰かけて地面から離れた両足を、私は思わず揺り動かす。かかとが防波堤の壁にぶつかって、コツコツと軽やかに音を鳴した。
「便利でしょう? 主導権を簡単に握れるわ」
「ほどほどにしなよ……ん?」
――ぷにっ。
「え……ふぃぇ!?」
ほんのわずかな虚を突くように、彼女の指が私の頬に触れていた。
私は思わず、素早く身を引く。
「なっ、なにするの!?」
「あ、ごめん、本当にホンモノか気になって、つい……」
彼女の指先に水滴がついていた。
私の涙だ。本物に決まっているだろうに。
「ううっ……驚かせないでほしいわ……っ」
「あはは、ごめんね」
「……もうっ……もうっ!」
彼女に触れられた頬が熱い。
絶対に顔が赤くなっている。
涙をぬぐうふりをして、両頬をぺたぺたと押す。少しでも血の気が引いてほしかった。
こんな不意打ちずるい。
なのに彼女はといえば、こちらの様子を見て能天気にくつくつと笑っている。この悔しさはいかんともしがたい。
こんなことではダメだ。私が主導権を握らないと。
「……仕返し」
「え……?」
――ちゅ。
「!? えぁっ!? なっ、なっ、なにす――」
「仕返しだって言ったでしょう」
彼女の頬に唇で触れる。
袖を捕まえて、逃げる彼女の体を引き留める。
唇の隣に、耳元に、顔の輪郭に、撫でるようにキスをする。
心がひりつく。
とんでもないことをしていると自分でもわかる。
しかしやめられない。クセになる。まるで好きな味がする溶けない飴玉だった。
「このくらいでいいかしら」
「も、もう勘弁して……っ」
「あまり私をからかってはだめよ。わかった?」
と、止めのように、私は彼女の唇にキスをした。
その時の彼女のかわいらしい悲鳴が、今でも耳から離れない。
学校帰りの車窓から、時折彼女を見かけている。
彼女の言う通り、彼女は自分の通っている学校のバドミントン部に所属しているようだった。風の無い日、外で練習をしている一団の中に、彼女の姿を見ることができた。
弾ける笑顔を浮かべている。私に見せる涙からはとても想像できない。
涙の代わりに汗を流し、素早く左右に動いて、目の覚めるような速さでラケットを振る。たまに転んではすぐに起き上がって、チームメイトに笑顔を見せた。チームメイトは心配そうだ。
チームメイトは皆優しそうだった。だからこそだろう。部内の試合に負ければ、涙が出るほど悔しくなる。しかし誰にも涙を見せることができず、海辺で夜な夜な泣いている――。
「ねぇ、本気で涙を流すことに意味があると思う?」
運転手さんに投げかけてみる。しかし返答はない。
「涙を隠すことに意味があると思う?」
返答はない。父からか母からか、教育的なことは話すなと言われているのだ。つまらない。
涙に意味はある。しかしそれは、自分以外の者に影響を与える、という意味で。
最後にホンモノの涙を流したのはいつだろうか。
それは遠い昔のことであって、正直もう、思い出せなかった。
「学校の様子を見てみたいの。敷地の周りを少し走ってもらってもいいかしら」
ウインカーがカチカチと鳴ってから、車は学校脇の細道を走り始めた。窓におでこがくっつくくらいに、私は窓に顔を寄せていた。
彼女の様子がよく見える。楽し気にコートを駆けまわっている。
そこに私の姿は無くて、代わりに――名前の知らない誰かがいる。
隣にいる女の子の名前は何だろう。
後ろにいる女の子の名前は何だろう。
その眼差しの先にいる女の子の名前は何だろう。
「昼間、学校の前通ったでしょ?」
「えっ」
「登下校の時間にあんな車に乗ってる女の子、この街じゃ一人しかいないよ」
気づいていた。
気づいてくれていた。
その事実を知るや否や、私の体に途方もない衝撃が走った。それは巨大なエネルギーの奔流で、しかし少しも身になることなく、全身をただ貫いていった。もし少しでもその力を残せていたら、きっと私は空も飛べたのだろうに。
「でもどうして? 来年の下見じゃないよね。きっとエスカレータで中学校にあがるんだろうし」
その通りだ。
私はこのまま、今通っている学校がある敷地と同じ敷地にある別の校舎に移るだけだ。彼女と同じ学校の空気を吸うことはないし、同じ学校の景色を見ることもない。
「すごいよね。お嬢様で、顔も可愛くって、髪も綺麗な金色で、長くてふわふわで、まるでお人形さんみたいなのに、頭も良いなんて、うらやましいな」
彼女がそっと、私の髪に触れる。
私の髪は長い。椅子に座ると座面につきそうなくらいだ。
「別に、色は遺伝だし、手入れは家の人がやってくれているだけよ。座っているだけの私は何もすごくない」
「すごいものが似合っているのがすごいんだよ。立ち振る舞いとか、言葉遣いとか、そういう話」
家の人にも美容師にも、髪や体に触れられるのは好きではない。それどころか嫌いだ。
「素敵なドレスを着ても、それにふさわしい動作ができなきゃ宝の持ち腐れだもん」
しかし今は、そんな気持ちにはならなかった。
むしろ彼女からの賞賛が嬉しくて、いままで嫌なことに耐えてきたことが初めて報われたような気がした。
ぽん、と彼女の手が私の頭に乗る。そのまま彼女は、私の頭を撫で始めた。
「綺麗だなぁ……お星さまみたい……」
うっとりと。
こちらを眼差す彼女に、私は何も言えなくなる。
こんなに幸せそうな彼女の邪魔を、世界のいったい誰ができようか。
「あ、星で思い出した」
「?」
「今日、流星群が見えるんだって」
「運動は苦手なの」
私は息を切らして言った。
「運動って……この階段、めっちゃ緩やかだと思うんだけど。たしかに段数は多いけどさぁ……」
海辺からほど近いところにある、展望台へ続く階段。左右は木々が並び、土と緑の匂いが強かった。
小高い山に作られたそれは、角度こそ大したことないものの、その長さたるや、運動不足の私にはつらいものがあった。
おまけに学校にあるそれとは違い、丸太を並べて作られた階段で、踏面も土で固められている。平らでないため、余計に体力を使った。
街灯もない。彼女のスマートフォンの明かりだけが頼りだ。
「三段以上の階段はもう四年くらい昇ってないもの」
「……学校とかどうしてるの?」
「エレベータがあるじゃない。何を当たり前のことを」
「ち、ちなみに三段の階段って……?」
「家の玄関前」
彼女は絶句していた。
「ああもう……足、滑らないようにね。ほら、手」
差し出される手。
両親に雇われた人以外から手を差し出されたのはいつ以来だろう。
だからその手をどうするべきか、すぐに判断を下せなかった。
「っあ」
しびれを切らしたのか、彼女が私の手をとって歩き出す。握り合られた手に伝わる感触は、空に浮かぶあの緋星の光のように温かで、そして優しげだった。
そのぬくもりが消えないことを願うように、私はその手を握り返していた。
ほどなくして現れた展望台からは、左手には海、右手には市街地が望むことができた。吹き上げる風は潮の香りがして、しかし時折、背後から吐き出される山林の息吹が、潮の香りを洗い流していった。押されて、押し返して、じゃれ合いのようだ。海端で聞こえていた波音は消えて、風の音と、自分たちの足音だけが聞こえていた。
「うん。やっぱりここに来て正解だった」
彼女の言葉を合図に、私は静かに空を見上げた。
「……」
星が降っている。
夜空の奥から飛び出してきては、流星は街の光と一つになるかのように消えていく。
それは希望の光にも、あるいは地上を砕こうとする誰かの怒りにも見えた。だがどちらにせよ、それが誰かの願いであることにかわりはないのだろう。
「わぁ……」
感嘆の声。
星を見上げる彼女の瞳が、夜空の世界を吸い込んでいる。そしてそれは星空よりも確かに美しかった。煌めいていて、壮大だ。途方もなく、尽きない魅力が降り注ぐ。
私も夜空になれば、あなたの瞳を輝かせることができるだろうか。
あの星のように、自由に世界を駆けることができるだろうか。
星に祈れば届くだろうか?
「あはは、すごいすごい!」
展望台の手すりに飛びついて、ぴょんぴょんと飛び跳ねる彼女。手すりの向こうは崖だ。覗き込んでみると、暗くて下は見えなかった。
「危ないから、やめたほうがいいわ」
「大丈夫っ。平気だよ――――あ゛っ」
「!」
「わあああああああああああああ!?」
後悔に先立たず。
手を滑らせて支えを失った彼女は、手すりの向こうに転落していった。
「大変……!」
彼女が消えていった闇を見下ろして、すぐに全身から冷や汗が噴き出した。これから目にするかもしれない悲劇を連想し、頭の中がいっぱいになる。
いや……いや、今はとにかく、彼女の無事を確認しなければ。
展望台を回り込んで、手すりが切れたところから崖下への道を探す。
道とは呼べないような、植物がないだけの地面を辿って、私は暗闇の中を進む。空を見上げると、展望台が巨大な影となって、夜空の星を切り取っていた。
「っ……」
大地を押し潰すような巨影。思わず足がすくんだ。
しかしこの先に彼女がいる。そして彼女はもっと怖い思いをしているはずだ。
だったら私が怖気づいている場合ではないのだ。
とにかく彼女が心配だった。
いま、すぐに、駆けつけたい。
「あうっ……」
転んだ。
手をつくことはできたが、膝は擦りむいたようだった。膝に手で触ってみると、鋭い痛みが走って、手にはぬるりとした血がまとわりついた。血が伝って、履いているソックスはたぶん血だらけだ。
くじけそうになる。しかし立ち上がった。
彼女のもとへ。
その一心が糸となり、私の体を強引に動かし始めた。
「……!」
見つけた!
闇に光る四角い明かり。彼女のスマートフォンの光だった。
その近くに彼女の姿がぼんやりと浮かび上がっている。いままさに、スマートフォンを拾ってから起き上がる瞬間だった。
「痛たたた……あれ?」
彼女が私に気が付く。スマートフォンで私を照らす。
そして目を剥いた。
「ちょっ! 膝! 怪我してるじゃん! 大丈夫なの!?」
「(怒)」
さすがに殴った。
「まったくもう……!」
幸運にも彼女に怪我はないようだった。むしろ私だけ怪我をした。
そして私は、彼女におんぶされた状態で、道路へ続く階段を下っていた。
怒っているのは私なのに、涙目でおんぶされているのも私で、情けないことこの上ない。怒りが全く様にならない。
「危ないって言ってるのに、無視して落ちて、自分だけケロッとしてるなんて……!」
「だ、だからごめんって言ってるじゃん」
怒りの中に不安と恐怖があった。
擦りむいた膝。
血だらけのソックス。
深夜の外出。
両親や家の人々になんと説明したものだろうか。
「……ぅ……」
正直に話せば、きっと、最悪の結果が待っている。
彼女と二度と会うことはできなくなるだろう。
いまこの胸にある恐怖に比べれば、先ほど暗闇に感じた恐怖など、浜辺の砂粒より小さなものだった。
涙が出る。ホンモノの涙が。
私の嗚咽に彼女が気が付く。慌てた気配が彼女の背中から伝わった。
「! 膝が痛むのっ?」
「ち、違、これは――」
「はやく降りよう」
彼女が歩調を上げる。
その直後だ。
「あっ、痛ッ」
ガクッ。
彼女がその場に座り込んだ。かろうじて振り落とされることなく、私は地面に足をついた。一方彼女はといえば、そのまま右足首を押さえていた。
挫いているようだ。
「……我慢していたの?」
「……」
彼女は目を反らした。
考えてみれば、あの高さから落ちて無傷ではおかしい。よく見たら細かい傷が全身についていた。ひどい暗がりで気が付けなかった。
だがすぐに彼女は立ち上がった。そして私の手をとって、階段をまた下り始めようとする。
「大丈夫、行こう。膝の手当てをしないと」
この期に及んで人の心配だ。怒りを通り越して呆れてきた。
だから私は――ガッ。
彼女の右足首を軽く蹴飛ばして、彼女の歩みを強制終了する。
「な、何で……!?」
「助けを呼ぶわ」
「! ……でも!」
「ダメよ。女の子なんだから」
「は、流行らないよ、今時、そんなお説教……」
「……」
彼女の両手を掴む。
これで彼女は逃げられない。
私はつま先立ちをして、彼女の頬の傷に、そっとキスをした。
「!? ちょっ……いきな――ひぅっ」
一度ではやめない。やめてあげない。
彼女の口元に、首筋に、鎖骨に次々と愛を印す。おでこには届かないのが残念だ。
「や、やめっ――」
「ダメ。これは罰だもの」
それに。
「本当に嫌なら、もっと抵抗したら?」
「っ……」
腰が砕けて抵抗できなくなった彼女を抱き寄せ、私は一層たくさん口づけをする。
手の甲、指先。
膝、ふくらはぎ。
服をめくりあげた脇腹のあたりとか、おへそとか。
傷の数だけキスをしよう。
「はぁっ……ぁっ……!」
「――ふふ」
その頃彼女はもう、私のお人形さんになっていた。全身が弛緩して、ただ私に抱きかかえられるだけのお人形さんだ。だから落とさないように、壊さないように、壊れるほど抱きしめたいけど、そっと抱きしめるのだ。
「好きよ」
優しく囁く。痛みを塗りつぶすように。
「好きよ」
耳元で囁く。脳に刻み込むように。
「好きよ」
何度も囁く。魂に刻み込むように。
「好きよ」
何度でも囁く。星の数ほどに。
「ねぇ」
階段の下の方から、いくつもの懐中電灯が上がってきて、遠くからは救急車のサイレンが聞こえ始めたころ。
「このあと、どうなるかなぁ」
彼女は言い直した。
「また、会えるかなぁ……」
彼女も私と同じことを考えていたようだ。
だからこそ、人の心配ばかりしていたのだろう。
私は震える彼女を抱きしめつつ、言い聞かせる。彼女に、あるいは自分に。
「大丈夫よ」
空を指差す。
夜天に静かに、緋色の星が燃えていた。
「
人々の声が聞こえてくる。怒声もあれば安堵の声もあった。
「どんな炎でも、振り払ってみせるわ」
彼女を抱きしめる。もう離すまいと。離させまいと。
「ははっ、キミらしいね。……キミのそういうところ、すごく――」
彼女のことが好きだ。
「好き」
この上なく愛おしい。
油断すると、強烈なスマッシュを食らわせてくるところとか、特に。
fin.
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