君と僕の七日間

楸翠

第1話

 ミーンミンミンミン


 暑い……


 ミーンミンミンミンミーン


 うるさい…


 何時間も車に揺られ、やってきた場所を見渡す


 ここは、父方の祖父母の家。

 良く言えば

 自然豊かな空気の澄んだ場所

 悪く言えば

 ド田舎


「……うわ…圏外かよ…」


 手に持つ相棒スマホの画面を見て呟く

 わかってはいた。去年も一昨年も来た場所だ

 だが実際に普段常時見ている画面でできることが大幅に減ってしまうと

 それはもう絶望だ。

 暇でしかない。



 こういう時の家族は残酷で


 両親には忙しいから邪魔するなと跳ね除けられ

 兄はいつもの如く本の相手。

 妹に至っては近所の友達と遊ぶから放っておいてくれだ。

 普段は遊べ遊べとうるさいくせに……


 しかたなく、冷凍庫をあさりアイスを1本取り出す

 それを咥え家から出ると電波が少しでも入らないか画面を見ながらあちらへこちらへと歩く



 汗が頬を、背中を伝っていくのがわかる

 何故こんなにも暑いのだろう

 夏はきらいだ

 と思いながら最後の一口を食べる


 その時スマホの画面から離れた僕の瞳が

 彼女を見つけた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る