選択

勝利だギューちゃん

第1話

僕は今日で、数年勤めた会社を退職する。

定年ではない。リストラでもない。

まだまだ、働ける。

会社も、僕を必要としてくれる。

会社の社員たちとも、上手く行っている。

なので、退職願を出した時は、引きとめられた。

しかし、僕は退職の意思を貫いた・・・


それは・・・


僕の奥さんが原因だ。

断っておくが、妻は元気だ。むしろ元気すぎる。

心身ともに健康で病気知らず。

なので、介護が目的ではない。

なのに退職をしたのは、妻の職業が原因だ。


僕の妻は、女優をしている。他にもマルチな活動をしていて、とても忙しい。

妻は高校時代の同級生。

その時は、特に意識はなかったが、当時から養成所に通っていた妻に、

よく相談された。

僕は、出来る限りのアドバイスをした。


そして、いつの頃からか、恋心に芽生えた。

しかし、奥手な僕は、自分からはプロポーズ出来なかった。


しかも、妻は当時すでに売れっ子になっていて、僕とは縁が切れたはずだった。


しかしある時、妻から「会いたい」と、連絡があった。

彼女もしびれを切らしたのか、向こうからプロポーズしてきた。

いわゆる「逆プロポーズ」である。


あまりの強い押しに、うなずいてしまった。

そして、唇を重ねた。


2人の時は、それでもよかった。

お互いが協力をして、家事を分担が出来た。


しかし、子供が出来ると、そうもいかない。

どちらかが、家事に専念しないといけない。


妻も今の仕事を一生続けたいだろうし、僕も続けたかった。

しかし、僕は妻の、仕事を生き生きとしている時の姿が、

とても、大好きだ。愛している。


妻には、いつまでも輝いていてほしい。

そのためには、主婦業はこなせないだろう・・・

妻の支えになりたい。


今の仕事を続けるか、それとも妻の支えになるか。

天秤に掛けた時、後者が勝った。


そのために、僕は自分の夢を封印した。

妻のために、家に入る事にした。


そう、主夫になることにした。


これからは、妻の、そして子供の支えになって生きて行こうと思う。

後悔はない。


妻も、「ありがとう」と言ってくれた。

妻に負担をかけさせないためにも、僕はがんばろうと思う。


妻が帰ってきた時は、笑顔で迎えよう。

温かいご飯と、お風呂をわかしておこう。


妻を安心させるために・・・僕に気を使わせないために・・・



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選択 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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