第72話
「・・・」
「ルーナ、大丈夫か?」
「・・・はい」
新機能のテスト開始前から何時も以上に大人しかったルーナ。
終了した今、大人しいというより、かなりキツそうな印象を受けた。
俺は取り敢えずルーナを木陰に運んだ。
「ルーナ、魔力を消費し過ぎたのではない?」
「マスター・・・、どうやらその様です」
「そうだったのか、じゃあ直ぐに」
「待って」
「ん?」
俺が早速魔力供給を始めようとすると、フェルトから待ったがかかった。
(何時もは急かされるのになぁ・・・)
そんな風に思う俺を横目に、フェルトは何やらルーナの身体をチェックしていた。
「う〜ん、不味いわね」
「何か問題が有るのか?」
「ええ、ちょっと魔力を消費し過ぎてるのよ」
「そんなに新機能は負担が大きいのか?」
「そうね、其れも有るけど・・・」
「有るけど?」
フェルトの日頃とは違う反応に、俺はかなり心配になった。
なんと言ってもルーナは、フェルトのみが握る極秘事項が多く、内部構造はどうなっているのか全くと言って良い程理解出来ていないからだ。
そしてフェルトから伝えられた事実は、かなり意外なものだった。
「日々の魔力供給量が追いついていないのね」
「そんな・・・、でも毎日ちゃんと魔力供給は行なっているのに」
「う〜ん、内容の問題ね」
「内容かぁ・・・」
「覚えがありそうね」
「・・・あぁ」
確かに俺はフェルトから散々言われてきた様な濃密な接触による魔力供給を、ルーナと行う事はしてこなかった。
(どうしても踏み出せないんだよなぁ・・・)
そんな俺の様子を見てフェルトは、仕方無さそうな溜息を吐き俺を引き寄せた。
「お、おい」
「じっとしてなさい」
「い、いや、じっとって・・・、おわっ⁈」
「ふふ」
俺を引き寄せたフェルトは、そのままルーナの衣服に手を掛け、其れを脱がせ始めた。
驚き戸惑う俺を尻目に、ルーナの純白の肌を露わにしていった。
「マ、マスター、・・・や、やめ・・・」
「ふふ、大丈夫よ、ルーナ?」
「お、お・・・」
ルーナは抵抗しようとしたが、もう魔力が足りてないのだろう、虚しさを消え入りそうな声が示した。
俺は止めようとし、結局はまごまごする事しか出来なかった。
「さあ、始めてあげなさい」
「いや、さあって言われても」
「此処まできて何言ってるの?嫌なら途中で止めれたわよ?」
「うっ・・・」
「そう言う事、貴方も望んでいるのよ、ふふ」
「・・・」
図星と言って良いのだろう。
フェルトに告げられた言葉は、俺の願望を言い当てるものだった。
その証拠に横たわるルーナの純白にして純潔を保つ肌、その胸にある双峰は程よい高さで日頃の触れあいで感じる柔肌から想像出来ない程、天を指しその張りを想像させた。
其処から視線を流し脚に向けると、まだルーナの奥底深くへと続く道の扉には、その肌に相応な純白の下着でしっかりと鍵が掛けられていた。
俺が其処へと無意識に手を伸ばそうとすると、ルーナは軽く身を捩りその頬だけを紅く染めた。
「ごくっ・・・」
「ふふ、いらっしゃい」
「おい、な、何を・・・、ん」
「あむ、んん、くちゅ」
「やっ、マスター・・・、あ、あんっ」
フェルトは俺の首を手繰り寄せ、そのままルーナの双峰の先に咲き誇る美しい薔薇越しに、自身と俺の唇を合わせ、舌を這わせてきた。
応える俺の舌、まるで絡み合う蛇の様な其れは、ルーナの薔薇を散らすかの様に責めたてた。
「マスタァ、あ、あん、うぅぅ、・・・、ん〜、つかささ、んぐっ、や、やめ、あんっ」
「あむっ、あむっ・・・」
「ん・・・ん、ん」
ルーナは其の可愛らしい唇から、美しくも儚い嬌声を洩らした。
俺は其の獲物の洩らす鳴き声を辿り、自らの唇で狩りをする獣の様に喰らいついた。
「つか・・・、ん、あむ」
「んん・・・、くちゅっ、ごくっ」
ルーナの唇、其れに自らのものを重ね、閉じられた先に舌を抉じ入れると不思議な感覚に襲われた。
重なり合う唇も、絡み合う舌も初めから一つであった様な、『我が半身』そう妄言を繰り返していた過去の自身に、我が意を得たりと今伝えたい気分だった。
「ルーナ、いくぞ?」
「司様・・・、はい・・・」
「ふふ、もう大丈夫そうね?」
ルーナに意思を確認し同意を得た俺に、フェルトは二人から離れて行こうとした。
だが俺は其の腕を少し乱暴に掴み、自らに引き寄せ唇を合わせた。
「ちょっ・・・、んっ」
「んん」
「もう、仕方ない人ね、ふふ」
「・・・マスター」
そうして俺達は三人で至福の時を過ごしたのだった。
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