第24話 密漁厳禁

 私は蘇る勇聖者共を殺し、癒しを繰り返し、勇聖者の山を作った


「ふむ、流石にここまで分割してしまえば魂ごと消し去るのも容易か・・・、しかしし腰やり過ぎたか?」


 周りの勇聖者共は既にうめいているだけの物体と化している。心地よい響きだ


「「ぅ…ぁ・・・」」


「そうかそうか苦しそうに、今お望みどうり楽にしてやろう!」


「ブォ…」


 今まさにまとめて消し飛ばそう魔力を貯めた直後、全ての勇者が光り始めた。この勇聖者共が一体の時と同じ威力なら周囲40キロは吹き飛ぶのではないだろうか? いや、横には広がらない様だから大きな縦穴が空くだけか、いずれにしても


「くっ、魂が薄くなり過ぎて理性が飛び、闘争本能が目覚めたか! だが無駄な事よ、貴様以上の威力で撃ち返してくれるわ!!」


 私が魔力を放とうとしたその時!


「タン!」「タン!」「タン!」「タン!」「タン!」

   「タン!」「タン!」「タン!」「タン!」

      「タン!」「タン!」「タン!」


「あ…」


 勇聖者共を何者かが撃ち抜いてしまった。皆殺しにされ塵となっていく人体の山…、この惨劇の実行犯は、事情も知らず高笑いしている


「はっはは! 珍しく危ないところだったねバルト!」


 このアホ女海賊が! 一緒に過ごしてる中にエルウッドの災いを呼び込むような体質が移ったのではあるまいな


「このゴミ勇者2号め・・・・」


「なに? 追い払った人間に助けられて不貞腐れてるのかい? あのまま放っておいたらアンタでも無事じゃあすまなかっただろう」


「問題無い、周囲40キロを吹き飛ばす爆発を周囲400キロを吹き飛ばす威力で撃ち返すだけだ」


「それ私や町どころか、首都もまとめて全部吹き飛ばない!?」


「それがどうした、魔王だぞ。元だがな…」


 何かもの凄い視線で女勇者を睨んでいるが気にならないのか?


「う~…」


「あ~…、さっきっから睨まれてんだけどさ、あれバルトのお仲間かい?魔族の」


 やっと気づいた様だ


「いや、人間だ」


「人間!? まって、あの目はまずいでしょう!無表情なのに目だけ見開いて殺気が籠ってるんだけど!」


「まあ実際、魔族と間違われて火刑あってるからな」


「あ、トムと同類かい」


「貴様とも同類だがな! なに自分は関係ない様な顔をしている」


「私はほら、火じゃなくて水責めみたいなもんだしね?」


 睨んでいた勇聖者は口を開いた


「魔王様ぁ・・・その女は?」


「貴様の同じ勇者と呼ばれていた者だ」


「ふぅん…。魔王様、僕あのままで行けば死ねたと思うにですが、どですか?」


「魂ごと木っ端微塵に出来たであろうな」


「じゃあ!またお願いしま…」


「断る、流石にあそこまで刻むのは私でも面倒だ。また気の向いた時にしてくれ」


「気の向いた時ですか」


「またやる気になるかは保証しないがな」


「ふふ、やっぱり」


 女勇者は私と勇聖者の会話が理解できずキョロキョロしている


「なんだいなんだい、一体何の話をして・・・」


 女勇者がなにかしゃべり終わる前に、勇聖者は女勇者の胸ぐらを掴んで吠えだした


「よくも僕の死の邪魔をしてくれたな!この小娘が!」


「なんだいアンタ! 小娘って私とそんなに年が離れてる様には見えないけどね!」


「僕は130歳だ!」


 130か、意外と若いなと思ったが、人間にしてみれば結構な歳か。女勇者も動揺しているし


「ひゃくさんじゅッ! アンタ本当に人間!?」


「僕は死ねないんだ! 肉親に先立たれ、幾多の争いで友は死に、妻との間に子供も恵まれず・・・、守り抜いた故郷も時の流れで形骸だけが残り中身は別物になってしまった、生きがいを無くし、今!やっと!死ねるという時に貴様はぁぁあああ!!」


「やろうってのかい! そんなに死にたきゃ私が何度でもぶち殺してやるよ!」


 殺すだけじゃ死なないのだけどな、そいつは


「うおおおおお!!」


「うりゃあああ!!」


 二人は殴り合いの喧嘩をはじめた。勇聖者が昔の狂犬に戻っているのを見て、なぜだか懐かしさすら覚える。たしか彼は昔は聖職者ではなく、不死能力を生かし死して教会で蘇り情報を安全に持ち帰る事で有名な尖兵だったはずだ、名前は確か…


「……ジョルジュ・バルディだったかな? 狂犬バルディ」

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