第13話 港町名物、開戦丼
外の様子をうかがおうと、扉を開けた
「ビュウウウウウウウンッッ」
すると私に向かって砲弾が飛んできたので、魔力で対策を・・・
「しぇい!」
・・・していたのだが、勇者が私に前に飛び出して前蹴りの要領で足裏で砲弾を受け止めた
「ッ!?炸裂弾!!」
勇者は感触で自分が受け止めた砲弾が炸裂弾だと気づいて、砲弾が地面に落ちる寸前で足の甲で蹴り上げ両手で掴み、砲弾をクルクル回して信管を探し出した
「あった! この!」
そして勇者はダガーを隙間にねじ込んで信管を引っこ抜いた。その滑稽な行動に私は称賛の言葉を送った
「良い手際だな」
「ぜぇぜぇ…、そいつはどうも。だが発火のタイミングが遅い、不発弾だったのかもな、じゃなきゃドカンだ」
「私が不発にさせたんだ」
「あ?…冷たッ!」
勇者はやっと砲弾が凍り付いている事に気付いて手を放し、砲弾を地面に落とす、そしてまたやかましくどなる。忙しい奴だ
「凍らせたんなら早く言えよ!」
「声を掛けたら手元が狂うと思ってな。口を挟む余地のない良い手際だ」
「はいはい、そりゃあどうも!」
「来るぞ」
「ああ!」
今までまばらに放たれていた大砲が止み、大砲を放っていた海賊と思われる船団が私と勇者に集中して狙い度定めてきた
「まさか狙いは魔王か?」
「狙いはお前で、私はオマケだ。このマヌケめ」
勇者がご丁寧に砲弾を受け止めたせいで脅威と認識されたに違いない、勇者に庇われた私も同類とみなされただろう。全く余計な事をしてくれたものだ
「勇者よ、ビリヤードは知っているか? 最近流行っているのだが」
「いや、何だそりゃ?」
「簡単に言うと、テーブルの上に置いてある1番から9番までのボールを・・・」
私は勇者が落とした砲弾を拾い上げて、空間から杖を取り出した。海賊の船団からの砲撃の音が鳴り響く
「打つ専用の球を棒で突いて、一番小さな数字から順番にテーブル端に空いてある穴に入れ・・・」
砲弾を勇者頭に置いて、迫りくる砲弾に向かって手元の砲弾を突いた
「最後の9番ボールを入れた者の勝ちと言うゲームだ」
「ふーん、少なくとも空中の弾でやるゲームじゃないのは分かったよ」
打った弾はこちらに迫る砲弾に当たり、互いに弾き合い砲弾は元の大砲の砲身に戻っていき
「ゴン!」 「ゴン!」 「ゴン!」
「ゴン!」 「ゴン!」
「ゴン!」
「ゴン!」 「ゴン!」
こうして私が打った弾に触れた砲弾は私の魔力の影響を受け、砲身に戻った砲弾は船ごと爆発した
「「ドーォオオオオオン!」」
ヤツに弾かれた最後の砲弾以外はだが。ヤツに弾かれた砲弾は海に落ちて爆発する
「カン!」
「ドオオオン!」
それを見たこちらの勇者は言う
「おしい、9番ボールが外されたな」
「ああ、妨害は反則なのだが、土俵が違うのだからしかたがない。あれはあちらに敬意を表して不問としよう、あれだけはな」
「バルド、ヤツがここの?」
「ああ、魔王軍と幾つもの海戦を繰り広げた勇者だ」
あっちの勇者は拡声器を取り出し、なにやら演説を始めだした
「よく聞けぇ! アタイはフランチェスカ・レイル! このセイレーン海賊団の長である!」
それを見て勇者は私に話し掛けてきた
「あれがこの海を取り仕切る勇者か。魔王、面識あるか?」
「いや、どうであろうな・・・。少数で動く貴様の時と違って、海戦になると人も多いからな」
「一度あったら忘れないだろ、あの砲弾並みのおっぱい」
「おっぱい? ・・ああ」
勇者に言われて彼女の胸を見て思い出した。確かに会った事ある、あの女勇者に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます