第34話 本物の君が選ぶのはウソの私
それにしても、ショウは嘘の私にはあれこれ気を使うというのに。
本物の私に対しては、気を使わなさすぎる。
私が家に着いた~ってラインをしたら21時過ぎているのに、家にきて、部屋に入ってくし、私の親も親で『あら、ショウ君いらっしゃーい。23時には寝たいからそれまででよろしくね』とショウにだけは緩いし。
お風呂も入りたいから、明日にするか電話にしてくれればいいのにもうと思いながらも部屋に通した。
「こんな時間に何? 私お風呂も入りたいんだけど」
「悪い悪い。ちょっと直接あって話したくて」
ユウが花火大会に誘ったことを知らなければ、期待してしまうような話し方だ。
「手短にね」
私がそういうと、ショウは顔の前で両手を合わせると私に頭を下げてきた。
「ごめん」
あぁ、
でも、それは知らない体でいなければいけない。
「何がごめんなのよ?」
「その、いつも地元の神社の祭りいってただろ。……彼女に同じ日にある花火大会に誘われてさ」
「なるほどね。楽しんできてね」
「あっ、うん……怒ったりしてない? お前、からあげとかポテトとか箸巻きとか祭りで買って食べるの楽しみにしてただろ」
「夜店でいろいろ買って食べるのは楽しみだけど。一応まだ私ショウの友達ですから彼女と行くんでしょ、楽しんできなよ。それにもともと祭りに一緒に行くってショウと約束してたわけでもないし。それより、私お風呂入って寝たいの。帰った帰った~」
私はできるだけ気にしてませんからねという感じでショウの背中を押して私の家からショウを追い出した。
「はい、おやすみ~」
そういって一方的にドアを閉めた。
お風呂からあがってみると、ユウキのほうには、ごめんって再度謝罪のライン。
ユウのほうには行けるようになったってラインが入っていた。
ショウはユウキとの祭りを断ったことでもやもやしてるようで、ポテトチップスの献上とかあったけれど……
私はというと、ショウと花火大会に行けることで浮かれていた。
バイト終わりに、リサ姉と浴衣を見に行って下駄や帯なんかもセットの物を購入した。
当日リサ姉の家で着つけをするし、家においといてショウに浴衣の柄がばれて買い直しなどを防ぐためにも、リサ姉の家に一式おいといてもらうことになった。
可愛い巾着も買って私は、花火大会の日を心待ちにしていた。
そんなとき、ハルキからユウキに花火大会のお誘いが来た。
しかし、私の身体は一つしかない。
ショウと花火大会に行くから、ユウキでは花火大会へは行けない。
あぁ、もうせっかく誘ってくれたのにと思ったんだけど、ハルキのほうは適当な理由でお断りすることになった。
ハルキはというと、花火大会の日が近いこともあって、すでに予定あってもおかしくないこともありすんなりとひいてくれた。
当日の朝、私はとてもさわやかな目覚めだった。
時間はまだまだ早いけど、リサ姉がなら、家にきてDVDでも見る? って誘ってきたから私は早めにリサ姉の家に行くことにした。
っと、ヤバイ。今日は浴衣だから巾着だしスマホ2台は怪し過ぎる。
リサ姉の連絡先はユウのスマホにも入ってるし……
ユウキのほうのスマホはみばれ防止のために今日は置いていこう。
充電器を刺したままにしてスマホを部屋において私は一足早くリサ姉の家に向かった。
その途中にも思わずショウにラインを送ってしまう。
『今日楽しみだね。私浴衣着るね。何色でしょうか?』と。
ショウからも楽しみっていうのと、浴衣の色の予想や、私の友達カップルに会うのは緊張するとか、そんな話題がきた。
リサ姉の家にはお宝が沢山あって、DVDを見ながらお宝達を読んだりしているとあっという間に時間が経過していく。
昼食を食べたてしばらくごろごろしていたら、あっという間に準備をする時間になってしまった。
まずは、今している化粧を落として、化粧をユウバージョンでするところからだ。
一番初めは化粧水、化粧水は安いものでいいからコットンにたっぷりと出してから顔に塗るのだ。
化粧水が落ち着いたら、乳液を手早く伸ばしてから、ここが一番大事の化粧下地。
化粧下地はいろんな色を使う。緑紫黄ピンクと色に応じてカバーできることが違うから、それをなれたように伸ばす。
リサ姉に初めにやってもらった時は、いろんな色を使うことにびっくりしたっけ。
肌の色が均一になってからがようやくファンデーション。
全体に塗ってからは、次にするのは目だ。
油取り紙で軽く目元の皮脂をとってから、アイシャドウをする。
次はアイライン。面倒だけど、まつ毛の隙間を手早くきちんとうめてから、猫目になるように線を引く。
次はいよいよ、アイプチ。
これで二重を作ってしまうと顔が一気に華やぐ。
たかが、瞼の1本の線。しかしこれがかなり重要。アイプチすると、目が確実にでかくなるし。
その後は、マスカラでまつ毛を長く見せてビューラーでまつ毛をあげる。
後はここからがお絵描きの本領発揮、眉毛で今日の雰囲気をきめて、後は不自然にならないように顔全体に影をとハイライトをいれて凹凸を際立たせる。
最後は唇に、ティントで色をいれる。
「ユウキちゃん、ほんと詐欺メイク上手くなってるわね」
慣れた手つきで、影やら、なんやら顔をもっているとリサ姉が感心したかのようにそういった。
「さて、髪は浴衣着てからのほうがいいかな」
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