第19話 本物の私への変化

 私に男を紹介だって!? ……こんなパターン考えたことなかった。

 いや、直接私に言われたわけじゃないから、厳密にはまだ紹介されたわけではないけど。

 その話を私に言おうとしているのが、私が好きな男という泣きたいような紹介ルートだけど。

 私を紹介してほしいと言ってくる人がいるというのは、男の子のように振舞おうとしていた私に青天の霹靂だった。



 最近は本物のほうでも少しおしゃれして、だから自分で言うのもあれだけどだいぶ垢ぬけたと思う。

 ショウの前ではいまだに、ジャージでTシャツ、スッピンだけども。



 こんな時は、なんて返したらいいんだろ。

 既読をつけたのはいいけど、返事に悩む。

 私を紹介してって言ってきてる人は、そもそも私も知ってる人なのかとか……聞きたいことはいろいろある。



 困った時はリサ姉である。

 すぐにラインの返事が返ってくる。

『彼からみていいやつって思うなら紹介してもらったら? 気にいらなかったらお互い断る権利あるわけだし』

 いやいや、ちょっと待って。

 私一応ウソのほうに彼氏いるわけで、これで紹介してもらった人ともし付き合うことになったらまさかの二股じゃない?

 えっ? あれ? いや、そういう心配は付き合うことになってからしろって話よね。



 私は一歩を踏み出さないといけない。

 そうよ、気にいらなかったら別に付き合う必要はないんだし。

『ショウ君から見て、お互いがいい人って思うなら紹介していいんじゃないかな?』

 ポチポチとリサ姉のアドバイスを参考にそう打って送る。

 返事はすぐに来た。


『男のほうはいいやつ』

 ん?

 って私はいいやつじゃないの?

『幼馴染もいいやつで面白いよ。でも、それは友達として面白いとか楽しいっていうかんじで』

 どういうことやねん、いや、私はショウにとって友達として面白くて楽しい相手になろうとしてたから、ショウがそう感じてるならば大成功なんだけど。

 本人にこう言われるとムッとくる。



『幼馴染のことは紹介したくないの?』

 思わずそう打ってしまった。

 なんて返事がくるかである。

 さっき買った新刊より気になるのに、返事がさっきまでポンポンきてたのに少し止まる。


『紹介してこじれたら、どうしようって思う。あいつ友達としては100点だけど、彼女としたらどうなのかなって思うし』

 ちょっと泣きそうになったよチキショウ。

 そうか、彼女としたらどうなのか……だから私はずっと選ばれてないのだ。

 だから私はこう返事した。


『それは、ショウ君が幼馴染の女の子のことを彼女としては考えられないって話でしょ。でも、紹介してほしいって言ってきた友達は、そうじゃないから紹介してほしかったんじゃないかな? とりあえず幼馴染ちゃんに話して決めてもらったらどう?』


 またしても間である。

『そうかも。わかった( `・ω・) 』


 全く失礼だわじゃない、これ私に連絡来るじゃん。

 さっさと家に帰ろう。

 クーラーの効いた部屋で考えることにしようと思っていたら。


 家の前にいた。



 これだから家が近所って、近所って逃げ場がないのよ……って話だと思う。

「おっ」

 ショウが一瞬止まる。

 人の顔見てめっちゃ失礼と思ったけれど、なぜショウのリアクションがおかしいのか気がついた。。

 今日はTシャツにショートパンツで、いつもショウの前でしている格好とは違う。

 化粧も軽くしてたし、靴はスニーカーじゃなくてミュールだし、イヤリングまでしてるわ今。

「何? 今日来る予定なんかなかったよね」

 思わずそういって視線をそらした。

「いや、えっと。どっか出かけてって、本を買いに行ってたのか」

 そう、出かけるからおしゃれしてたことにしようと思ったけれど、近所の書店の名前がゴリゴリはいった袋を見られてしまって出かけてたからおしゃれしてた説は消えた。

「まぁ、今から読むからちょっと忙しいんだけど」

「暑いから、お茶の1杯位出せよ。お前俺んちでどれだけジュース飲んでると思ってんだよ」


 そう言われて、部屋にあげることになってしまった。

 けれど、どうしよう私の部屋はかつてと大幅に変わっている。

 ユウの衣装やカツラは家族にもばれないように隠してあるけど、化粧品が並んでたり、部屋も女子化が進んでいる……

 ショウが座るいつもの座布団は残してあるけど、他はリサ姉からもらったお古のこじゃれたやつがあったり、新しく自分で買ってきたりと急激に女子化が進んだのだ。



「えっと、じゃあ、部屋はちらかってるからリビングに……」

「なんでだよ。モンハン持ってきてんだけど。部屋なんかちらかってんのいつものことじゃん」

 ちらかってない、ちらかってないんだって。

「待ってってば」

 ショウにしても、私の家は勝手知ったる我が家のようなもの。止める間もなく、何の迷いもなく階段を上り私の部屋のドアを開けてしまう。

 あーあーあーあーあーあーである。


 間である。

 そりゃそうだ、そのくらい私の部屋は女子化してしまっている。

「まぁ、ちらかってるけどどうぞ」

 そう言うしかない。

 そういえばショウが私の部屋にくるのってかなり久々かもしれない。

 本をテーブルの上において、私はジュースとお菓子何かあったかなと冷蔵庫を漁りに行く。

 何かあったかなとしてると、ユウのほうのスマホがポンっとなった。


 危な!! さっきまで連絡とってたから、ユウのほうのスマホたまたまショーパンの後ろポケットにツッコンでたけどそうじゃなかったら、ショウがライン送るたびに鳴る怪しい感じなるところだった。

 慌てて私はこちらのスマホをサイレントにして、かつロックをかけてからに内容をみる。


 ショウからだった。

『動揺してる』

 何かはすぐにわかった、だって私自分でいうのもだけど、服装もガラッと変わったし、部屋にいたっては激変してるもんね。

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