第77話 弟子初めは
くそっ!アイツ帰りやがった!
起き上がると目の前には知らない男がいた。
気配なんてそんなのも無かったのに!
「歩けるか?歩けるなら来い。」
「誰だ?」
「お前が追い掛けた猫の仲間だ。わかるか?」
「なんで…。」
「動けねぇようなら拾ってこいって言われたんでな。そうじゃないなら案内だけでいいとも言われた。」
腕を組んで見下すような目で俺を見る。
立ち上がると男は歩き出した。
足を引きずりながらついていく。
「アイツの仲間なんだよな?」
「何度も言わん。お前と喋るのはこれきりだ。」
振り向かずにそう言って先を歩く。
建物に着くと、振り向いて溜め息をついた。
「あんた、馬鹿だね。」
ドロンと煙を巻いて姿を変えた。
それはさっきの男じゃなかった。
「なんで!?」
「知らない相手の言うこと信じちゃ駄目でしょ。だからって全部嘘ってわけでもないけど。」
「見捨てたんじゃなかったのかよ。」
「まさか。あんたはほっといてても良いほど強くないじゃない。」
「う…。」
「ほっとけるくらいには、強くおなりよ。ガキ。」
「俺はビャクだ!」
「あんたの名には心底興味ない。ま、こちとらに名を呼ばれるようになってみせるこった。そんじゃ、こちとら仕事あるからあんたは小屋で休んでな。」
小屋…?
建物を見てみる。
振り向いて聞こうとした時にはもう居なくなっていた。
中に入ると布団が敷いてあり、何故かご飯も用意されていた。
いつの間に?
食べてみると今までこんなご飯は食べたことがないってくらい美味しかった。
もしかして、アイツが作ったのか?
それって、凄くないか?
次の日。
「おはようさん。」
「なぁ、アレ作ったのって…。」
「今日はこちとら仕事であんたを構ってる暇ないんで
「さいぞう…?」
「今日は無口な才造を喋らせてみな。昼からは
早口で全部そう言うとささっと料理を準備してくれた。
さいぞうって人と朝は何かやって、こたっていう人と昼からまた何かすればいいんだな?
でも、その二人ってどうやって探すんだ?
「夕方にゃ帰ってくるからそっからは相手してあげるよ。」
そう残して影の中に沈んでいった。
どうやったらそんなこと出来るんだ!?
取り敢えず、さいぞうって人探さなきゃ駄目だ!
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