おかしな二人
花岡 柊
第1話 貧乏丸出し
私、山崎
トイレは一応ついているけど、和式で古臭い上に銭湯のようなタイル貼り。お風呂なんて名ばかりで、時々お湯が出なくなる。夏は我慢できても、冬は冷たい水に死んでくれ、と言われているようなもの。
ギュウギュウに詰め込んだ一週間のアルバイトで、日々の生活はなんとか補っていた。お弁当屋に焼き鳥屋。個人経営のコンビニと居酒屋でも働いている。あと、便利屋っていうのも時々。
便利屋っていうのは、所謂、何でもやります、やらせていただきます、的なお仕事だ。
これらの仕事のほとんどが、食べ物に関連しているのには訳がある。それは、おこぼれにあやかれるから。
これ、とっても大事なこと。人間、食べて睡眠とらなきゃ死んじゃうからね。
で、なんで一週間働くだけ働いて、おこぼれにまであやからなければいけない状況かと言うと、それはぐーたらな父親が残した借金のせいだ。
博打と酒に溺れ、散々家の金を持ち出した挙句、アル中で死亡。
本人的には、自分のしたい事だけして死んだのだから、幸せな人生だったのではなかろうか。と冷静に考えられるのは、今は自分の為に生きているせいかもしれない。
まぁ、働けど減る気配のない借金のための人生のような気もするが……。
つか、どうせ残すなら、飯残せっ。って、そんな洒落も言っている暇などないほど日々仕事三昧だ。
まぁ、体売らなくてすんでいるだけ幸せなのかもしれない。とほほほほ。
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