第8話 不老不死探偵の助手 其の弐
おお⁉
どうやら始まったらしいっすねぇ、師匠の戦いが。
どうも、児屋根春日です。
覚えてます? トキジク師匠の助手っす。いや、師匠じゃなくて下衆野郎の助手っす。
それで、なんで戦いが始まったか知ってるかって言うと、早速この骨董屋の地下にある武器庫から、ピースメーカーが二丁も消えたからです。
トキジク師匠の両手には特製魔法陣が彫り込まれていて、魔法陣を発動させれば、一瞬でここから武器やなんかが師匠の掌に届くって寸法なんですよ。
それでこの武器庫の棚には、ズラリと武器や道具が並べられ、師匠が取り寄せるのを今か今かと待ち構えているんす!
あ、ここで魔法陣の説明でもしておきましょうか?
西洋だと魔法陣、皇国や大陸では術式なんて呼ばれてます。まぁ同じもんですね。これは文字や記号などの組み合わせによって、様々な現象を引き起こすことが出来るものなんです。だけどただ魔法陣があるだけでは発動しないんす。使いたい魔法陣なり術式に、発動させたい意志を伝えないと何も起こらないんです。
ハッキリと強い意志を示すことによって、魔法陣は発動するんすねぇ。
手軽で一般的な使い方は、魔法陣や術式が描かれた巻物なんかを広げて、発動させます。
あ、だけど使用する魔法陣がいったいどんな効果があるか知らないで発動させようとしても、まったく反応しないか、弱い効果しか生まないんです。逆に、使用する魔法陣の効果を知っていて、更にそこに画かれている記号や文字の一つ一つの意味や作用を理解していれば、その威力は格段に上がるんです。
魔法の効果は、それを発動させる意志の強さと、魔法陣に対する理解力に比例するんですね!
更に上級者になると、魔法陣や術式を記憶し、使用する時にそれを意識の中で再現して、画かれた魔法陣無しに術を発動させることが出来るっす! だけどこれは記憶がちゃんと正確でなきゃ威力は弱くなるし、最悪発動しないってこともあり得る訳で。常日頃から魔法陣の記憶訓練が必要になってくるっすね。
師匠曰く、イメージリョクが大切なんですって。
だから出来る術者は常日頃から瞑想して、様々な魔法陣を記憶に定着させることを怠らないんです。
噂によればどんな魔法陣も一目見ただけで完全に記憶出来るとんでもない奴がこの世にはいるらしいです。それがもし本当だったら、無限に魔法を覚えられて凄いっす!
ん⁉ むむむ⁉
棚から銀の弾丸入りピースメーカーと、魔物封じのスクロールが転送されていったっす。いよいよ戦闘が激しくなってきたみたいっすねー!
いったいどんな奴と戦っているのやら。
あー、おいらも行きたかった! ちくしょーケチ師匠め!
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