第2話 『真』彼女との出会い

妻との出会いはあまりいいものではなかった。

その時私は度重なる女難のおかげ...で毎日が憂鬱な状態で、ただ散財がしたいがために珍しく高めの酒屋にふらりと立ち寄り記憶が無くなるまで飲むそんな1日だった。

またポツポツと雨が降っており街も私もどんよりとしていて何か良くないことが起こる、そんな予感が私のなかを渦巻いていた。

ただとくに警戒することもなくいつものように酒屋に入り記憶が無くなるまで飲む、ここまではいつもどおりであった。

朝彼女の一糸纏わぬ姿を目にしたときとてつもない混乱に陥った。

そもそも私が今何処にいるのかさえわからなかった。

兎にも角にも彼女を起こすしか進展がなさそうだったために話しかけた。


「やあ、おはよう」


彼女は目を開けるとじっと私の瞳を眺め、すぐに目を逸らすと再び眠りへ入っていった。

初め私は彼女の目の奥にある"なにか"に惹かれた。

なにもないようで実は重大なことを隠している、そんな瞳に。

ただ私の中にある『意識』がある種の現実逃避を許容しないかのごとくガンガンと打ち付けた。

と同時に私の中の『混乱』が再び大きくなって現れた。

なんだこの女は、なぜ私を無視する。

なぜこんな女と一緒にいるんだ。

尤もこの女は誰なんだ。

私の『思考』はぐるぐる迷宮をさまよい続けた。そして出口が開いていないことを理解すると諦めた。

結局色々と面倒に思った私は彼女同様目を閉じてもう一度眠りに入った。

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