真と核
神山 寝小
第1話 『真』狩人としての私
私はしがない"狩人"だった。
今時"狩人"と聞いて具体的なイメージがつかないひとも少なくはないだろうと思う。
実際私の希少な友人達も職業を聞いたときは覚束ない表情を浮かべていた。
そんななかにいたリチャードという男は大手出版社のジャーナリストをしていたのだが、職業柄上自分の知らないことがあると何でも徹底的に調べあげるという
それ故に私の生活面について執拗なまでに質問を重ねてきた。
私は彼に狩りの仕方や肉の解体方法、店に売るまでの流れをかいつまんで説明した。
無論彼はこんなものでは満足しなかったが私自身獣を狩っては帰りに一番安い酒(高い酒を買えないわけではなかったが当時の私は酔えればなんでもよかった)を特にこれといった思考を持たずにぼんやりと飲む、そんな日々を送る味気ない人間だったために特にプライバシーな面については一切話そうとはしなかった。
そのためそのうち諦めてくれたようだった。
それに私はかろうじて残っているであろう狩猟をするような人々とは全くもって性質が異なっていた。
彼らは猟銃や金属製の罠など現代的な道具に頼る狩りをするのに対し、私は落とし穴や弓など古風的な狩りであった。
幼い頃から父親と森にある小さな小屋で過ごし一切教育機関に通わず、父親から一般常識や生きていく上での知恵に加え狩りの仕方を教わりながら育ったために一般的な企業などに勤めるのは不可能であった。
そんな私の顔の作りはとりわけ優れているわけでもなければ劣っているわけでもない所謂ところの普通といったところだろうか。
しかしながら私は(後になって知るのだが)独特的な雰囲気を持っている。
それ故か女性と関係を持つことは多々あった。
しかしながら彼女達は時間的な差があったとはいえみな去っていった。
唯一私のもとに居続けたカナンという女性が私の妻になった。
彼女との出会いが私の日々を混乱へと巻き込んでいった。
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