こーちゃんと私。

上山ナナイ

第1話

わたしはオルゴールが大好き。魔法の杖で空を飛ぼうとしてる。でもこーちゃんはそんなの出来ないって。でもわたしはこのステッキで空を飛べるって信じてる。ままごとなんて大嫌い。大人になんてなるもんか。


こーちゃんはいつも言ってる。

「出て行きなさい」って。言われた通りわたしはステッキを持ってこーちゃんのお部屋から出て行くけど、こーちゃんが何考えてるかわからない。こーちゃんは学校の先生でお父さんみたいな人だ。わたしはみどり色のジャンパースカートを着て、風にゆられてる。


道を歩いているとこーちゃんがタバコを吸ってる。わたしが真似して吸うと

「これだから子供は。もう。」と言って取り上げる。わたしは子供なのでこーちゃんと一緒にいたい。構ってほしくていつもいたずらを仕掛ける。この前はひよこの孵卵器をお部屋の前に仕掛けたらとても喜んでたけどゴミ箱に捨てられた。わたしのおもちゃはいつもこーちゃんのゴミ箱の中。こーちゃんへのいたずらは先生に挑戦しているみたいでとても楽しい。この前はこーちゃんの顔をチョークまみれにした。こーちゃんが寝ていると、こーちゃんのおひげを抜いたりした。こーちゃんはとても怒った。


お店で買った手作りのチョコタルトを食べて「美味しくない」って言ってると、こーちゃんが、余ったら僕の部屋の前に置いておきなさいって言ってた。どういうことなのかな?ひょっとしてわたしのおもちゃも取って置いてくれてるのかな。


わたしは大人になったらこーちゃんとどんな仲になるのだろう。わたしはお化粧の真似事をしてる。ピンクのチークをお目目のまぶたにぬりたい。


こーちゃんはいつもわたしのことを目で追ってるけどこーちゃんといつかお友達になれるかな。ね。こーちゃん。

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