第103話~命が生まれる場所
この池は、魚たちの産卵場所。だが呪いでコケが生え卵を産めないらしい。
って、別に昔に錬金術師が何かした場所ではなかった。
ヤドさんは、この池の番人らしく私達の力を借りたいそうです。
「うーん。コケを除去する魔法陣とかないかなぁ?」
話を聞いたらユージさんが言いました。私もそれを考えていた所だったので、頷いて本で探してみます。
ありました! リフレッシュのお部屋版みたいのです。
リフレッシュは、体の汚れを落とす為魔法陣の上に乗ると発動するけど、これは魔法陣に魔力を流し込むと発動します。なので、描いた魔法陣を魔法陣の鏡で移す作戦です。
今回の魔法陣は、リフレッシュとちょっと違い、お掃除して出たごみを転送させる魔法陣も必要なのです。
本来ならゴミ置き場的な所に魔法陣を描けばいいのでしょうが、そんな場所がここらへんにはありません。
「ユージさん。出たごみどこに置いたらいいかな?」
「うーん。この世界にゴミ捨て場なんてないと思うんだけど……。でもゴミってコケだよね? きっと。だったら外でいいんじゃないかな? コケだけだったらそれも袋に入れて持っていけばいいんじゃないかな? コケ以外は、お兄さんにでも聞こう」
「うん! そうだね」
そう言う事で、私達は洞窟の外に出ました。
紙の黒板を広げ、そこにゴミ置き場の魔法陣を描きます。それを魔法陣の鏡で、出てすぐの所の脇に描いておきました。
紙の黒板は、お兄さんの所に行く時に見てみると、ピンクのポーションが消え去り魔法陣も消滅していました。
何とか魔力が足りるまで集まったようです。なので持って来ていたのです。
リフレッシュお部屋版の魔法陣を中には描けないので、洞窟の崖の上に描く事にしました。
お部屋用の魔法陣だったので、下の空間がお掃除される魔法陣もあったのです! 今回は、それをチョイス。
ですので、テントを入り口の近くに設置して、崖の上へ移動です。
次に、魔力を流し込む為のオーブが必要なので、粘土の魔法陣を描き、いつも通りユージさんが魔石の粉を混ぜた土を作ったので、魔法陣の上に置き粘土の完成です。
ユージさんがオーブ作りをしている間に、私は窯の魔法陣を作成。窯でオーブが出来上がるまで五分あるので、その間にユージさんが魔法陣の鏡で円を描きます。
準備が出来上がり、魔法陣を洞窟の上に移し一安心。
って、思っていたら雨です! 虹の刻になってしまいました。
「急ごう!」
「うん」
杖の上にオーブを乗せて、魔法陣の中央にさします。オーブが消滅すると、魔法陣がフワッと光った。いつもならその光が上へ駆け上るのですが、それがありません。
「あれ? 失敗?」
「もしかしたら光は下におりたのかも」
ユージさんは、そう言って崖から下を覗き込みます。
私も覗き込むと、ゴミ置き場にした場所が緑になっているようないない様な。
雨のせいで白くなっていてわかりません。
「一度下に戻ろう」
「うん」
私達は、ワープでテントの中に戻りました。ずぶ濡れです。でもこれ、太陽の下に行くと乾くのです!
そういう訳で、ゴミ置き場を見に行きました。
そこには、コケの山がありました。
「これだけあれば、袋がいっぱいになりそうだね」
「うん」
私達は、せっせとコケを袋に入れます。
「二人共ありがとう」
振り向くとヤドさんがいます。
洞窟に戻って行くヤドさんについて行くと、池は綺麗になっていました。
「これでまた、魚たちが産卵出来るだろう。ただ、私の見解だが、この滝の水が命の水ではなくなっているような気がするのじゃ」
「命の水ですか……。この場所がではなく、その水が特別だったって事ですか?」
ユージさんの問いに、ヤドさんが頷いた。
つまりこのままだと、またコケが生えちゃうって事だよね?
「それと、ワシがまだ綺麗になっておらんだが……」
「うん? 綺麗とは?」
「コケがとれん」
「「コケ!?」」
ユージさんと私の声が重なった!
その色は、コケの色だったのね。
「ちょっと失礼します」
ユージさんが、ヤドさんの体を擦る。
「確かに、コケみたいな感じもしますね。でも擦ってもとれないですね……」
「だったらこれこそ、リフレッシュしたらとれんじゃないかな?」
「あ、そうだね! やってみよう!」
私は、紙の黒板を広げ、リフレッシュの魔法陣を描く。
「さあ、この魔法陣の上に乗ってみてください」
「うむ。わかった」
ぴょんぴょんと跳ね、ヤドさんはリフレッシュの魔法陣の上に乗っかった。
魔法陣の光は上へ駆け上る。そして、ヤドさんは綺麗コバルトブルーへと変化していました!
「おぉ! 流石錬金術師様! どうか、このお力で水の方も戻して頂きたい!」
「そう言われても……調べてはみますけど」
「お願いします! ワシがお手伝いできる事は、何でもいたしますので」
「はい!」
私が元気よく返事をすると、ユージさんは驚いています。
「原因、何となくわかるの?」
「ううん。でもいつもなんとかなってるから。ここまでしたんだし、どうせなら水も綺麗にしたよね!」
私がそう言うと、ユージさんはニッコリ微笑んでうんと頷き、私の頭を撫でます。
雨が止んだら私達は、原因を調べに行く事にしました。
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