第57話~光るケモミミ
私はビンが出来上がるまでの間に、ユージさんが集めてきた細い草を使い筆作りをしました。作ると言っても、筆の先を草で作るだけなので、草を束ねて粘土につけるだけです。
そうしていると、ビンが出来上がりました!
見た目は想像していたのと違います。不透明なビンでした。持つと軽いのは、今まで通りです。
私はそのビンをひっくり返して、裏に魔法陣を描きます。
買ったばかりのチョークの出番です!
黒板以外にも描けますと書いてあったので描いてみると、チョークの粉が出なくていいです!
小さく描くのもまた大変で、30分程掛けて下書きが終了です。これを魔石でなぞり魔法陣の完成です。
それから光る液体の魔法陣描きです。
ふと視線を感じ振り向くと、ユージさん、それに精霊がジッと私を見ていました……。
「気にしないで続けていいわよ」
「僕の事もいつも通り気にしなくていいから」
二人はそう声を揃えて言いました。
いやそんな風に見られると、やりづらいのですが……。
「ふふふ。まさか錬金術をこの目で見れるなんて!」
え? 錬金術!? この精霊も私を錬金術師だと思っているのね。残念ながら錬金術師じゃないし、錬金術を行っている訳でもないんだけど……。
いやそんな事より集中集中!
今回の光る塗料は、創造力3万だけどLUKは、ダウジングの時と一緒で300で1%。だけど失敗すれば、全部作りなおし。しかもビンの底の魔法陣も描き直さないといけない。
今回も一発で成功させたいのです!
出来上がった魔法陣には、粘土のままで筆と筆のキャップ、それにビンの蓋も一緒に置く。そしてビンには魔石を粉にした物を入れ、水を注ぐ。これが光る塗料になるのです。
全て一緒に魔法陣に置き、私は祈る。
貯まった経験値3万を全てLUKに振る。長所なので6,000振って合計26,000になりました。
成功率86%! 期待できますよね!?
そして、期待通り成功です!
ビンは見た目何も変わらないですが、覗けばキラキラ輝く液体が見えます。筆は草の部分は、薄い緑色。その他は白っぽい。
一応、筆のキャップがはまるか試すと、ぴったりです! ビンも蓋をしてみるとひっくり返しても漏れません! これならリュックに入れておいても大丈夫そうです。
「やったね。一発成功! お疲れ様、ソレイユさん」
ユージさんも出来上がった筆やビンを手にして言った。
「素晴らしいですわ! 流石錬金術師様! 自己紹介がまだでしたわね。私リティと言います」
目をキラキラさせて、リティちゃんは言いました。何か錬金術師じゃないと否定できない……。
「後はケモミミを光らせるだけだね。ねぇ、僕がやってみていい?」
「うん」
筆を握りしめユージさんが聞いてきました。
そうでした。作って終わりではなかったです。
ユージさんは、筆をビンの中に入れ、光る塗料を付けると、ケモミミにそっと塗り付けていきます。
ケモミミは、ほのかに光を帯びました!
うん。ケモミミを光らせて成功だよね!
「出来た! これ凄いね! きっとこれならいいと思う」
ユージさんはそう言って、くるっとモグラさんを見た。するとモグラさんは、目を輝かせています。
「カガヤク ケモミミ!!」
ユージさんが魔力を注ぎ、モグラさんにつけてあげた。
「はい」
「アリガトウ!! ミテミテ ニアウ?」
モグラさんは大喜びです!
「チョット マッテテ」
そう言って穴に潜って行きました。
「コレダヨナ?」
暫く待っていると、違う場所から声が聞こえ行ってみると、ダウジングで反応があった場所に穴があいていて、そこからモグラさんが顔をだしていました。
目の前の地面には、宝玉が置いてあります!
「これです! 私はこれを持って先に行ってますね!」
リティちゃんはそう言うと、両手で宝玉を持って飛んでいきました。
「間に合うといいね」
「うん」
ユージさんの言葉に私は頷きました。
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