第56話~トレジャーハンター

 二人のケモミミは本当に偽物だった。って島の外でファッションとして、ケモミミが装備品として売っているなんて思わなかったわ!


 「経緯はわかったよ。でもケモミミがないと、宝玉は手に入らない。ケモミミを渡さないと、ここでHPゼロになって死亡になるけど……」


 ユージさんが、語ってくれたタイチさんに言う。


 「でもこれないと、船に乗れない! ケモミミ族じゃないとバレる!」

 「僕にそう言われても……。ていうか、死亡したくないって事はこの島で、他に手に入れた物があるって事?」


 ユージさんの質問にタイチさんは、首を横に振った。


 「俺達、もう200回は死亡しているんだ。だからペナルティーがハンパない……」


 200回!? そんなに……。そっか次がもし201回目なら2010ずつステータスの数値が減るのね! 確かにそれは避けたいかも。


 「だったら素直にケモミミを出してよ。この島にはケモミミの装備品なんて売ってないからさ」


 ユージさんにそう言われ、タイチさんは項垂れる。


 それにしても島の外って死亡率高いんだね。私達は崖から落ちてだから不注意で死亡したのしかないけど……。


 「島の外って、そんな簡単に死亡しちゃうんだね」

 「俺達トレジャーハンターの装備品って、あまり防御力ないから、逃げ遅れれば即死亡なんだ。死亡すれば、ステータスにポイント振りをしないといけないし。だからこの島は、トレジャーハンターの憧れの島なんだ」


 そう言ったタイチさんは溜息をついた。


 「それなのにこれってない……。モンスターいないんじゃなかったのか!?」


 そんな事私達に言われても。多分、フクロウとかモグラさんはモンスターではないと思うけどね。


 「彼らはモンスターじゃないよ。兎に角時間がない。耳の事は何か作戦を考えるからそれくれないか?」

 「はい……」


 ユージさんが言うと、観念したようにケモミミを頭から外しました。それはカチューシャでした! でもさっきまでケモミミしか見えなかったのに……。


 「それ魔力を注いで頭に付けると、ちゃんと頭にフィットしてケモミミだけ見えるようになるから。あぁ、高かったのに……」


 そういうカラクリだったのね。


 「ごめん。取りあえずまだやる事あるから、君の耳の事はその後で」


 ユージさんが受け取ったカチューシャを握りしめそう言った。


 「戻ろう。これ光らせないといけないし」


 ユージさんは、私に振り向いて言った。

 そうでした! これから光らせないといけないんだった! でもそれを光らせる物ってあるのかな?


 私達はまた、ガシッと鷲掴みされて運ばれました――。



 直ぐに本で光らせる物を検索すると、光る塗料というのを見つけました!


 なんと! ビンと筆もセットなんです!

 というか、まずビンを作らなくてはなりません! これってどうやって作るの?


 まあいいや。取りあえず、粘土作りをしましょう!


 私が魔法陣を描き始めると、何も言わなくてもユージさんは、土をかき集め始めました。描き終わるとその中に、魔石を混ぜた土を置いてくれて粘土の完成です!


 「で、今回は何を作るの?」

 「発明品で光る塗料を作るんだけど、一番厄介なのはビン……。私に作れるかな?」

 「大丈夫だよ。カップを作ったように下の部分から作って行けば」

 「あぁ。なるほど!」


 私は、中をくり抜かないといけないと思っていました……。そうよね! そうやって作るわよね、普通は。


 「僕、他にする事あるかな?」

 「あ、そうだ! 今回筆も作れるから、筆の先になる細い草みたいのを集めて欲しいの!」

 「了解!」


 こうして私はビンをユージさんは細い草集めをする事になりました。


 思ったより簡単にビンは出来上がりました。いやもう液体が入ればと思って作りました……。だからちょっと太めのビンになりました……。


 窯の魔法陣を描き、ビンを置きます。後は出来上がるのを待つだけです!

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