第4話~隣村は……

 さっそく経験値を50使い読解力を10にするも背表紙が読める物は出て来ない。更に経験値を100使い20にする。それでも読める物は出てこない。

 どんだけすごい書物なのよ!


 「父さん、今日のご飯がないので交換しに行って来ます」


 私が背表紙と格闘? していると、お父さんが入って来ておじいちゃんにそう言った。


 「頼むな」


 おじいちゃんは、私が渡した袋をお父さんに手渡す。


 もしかして、それと食べ物を交換するの? この世界って通貨ないの? いやそれよりも他の村に行くの? じゃ他の種族に会えるかも?!


 「違う村に行くの? だったら私も着いて行く!」

 「じゃ、行くか」


 お父さんは、頷いで承諾してくれた。



 ◇



 白薬石はくやくせきを採取した岩山とは逆の方向に歩く事二十分。村が見えて来た。なんと畑が見える! そして人影も見えた。

 やっぱりケモミミ族のようです。猫耳と尻尾がある。尻尾は細長い。


 「ダンダさん!」


 お父さんが呼びかけると、ダンダさんは振り返った。

 彼は、赤い髪に赤い瞳。がっしりた体型。作業着に長靴……。


 長靴をはいた……いや、猫とは限らないか。私なんてあらいぐまだし!


 「これは、バシリーさん。交換ですかな? おや、今日はお子さんも!」


 おぉ! お父さんの名前が明らかになりました!

 なんて感動していると、ダンダさんに頭を撫でられた。


 「はじめまして」

 「えっと……はじめまして」

 「おい、ユージ。ちょっとこっちこい!」


 私がお辞儀をして挨拶すると、畑仕事をしていた少年を呼んだ。彼はクワを持って近づいて来る。


 クワで農作業……。大変そう。

 見た所、トラクターなどはないみたい。


 「何、父さん」

 「俺は、バシリーさんと話があるからこの子を頼む」

 「わかった……」


 ユージさんはそう返して私の方を見て微笑む。

 日焼けした肌に、Tシャツが白くて眩しい。ダンダさんより暗めの赤い髪に紺のキャップ帽をかぶっている。瞳も髪と同じ色。整った顔つき。


 カッコいいお兄さんは、何を着てもカッコいいんですね……。


 「はじめまして。僕はユージ宜しくね」

 「はじめまして。ソレイユです」

 「え? 君ってプレイヤー?」


 私がお辞儀をしていると、ユージさんが驚きの声を上げる。


 「そう言うユージさんもプレイヤーですか?」

 「うん。そうだよ。びっくり。あらいぐまってNPCしかいないと思っていた!」

 「え、じゃ、さっきのダンダさんもプレイヤー?」


 私もビックリして聞くも、首を横に振った。ユージさんのお父さんも私のお父さんと同じNPCだった。やりとりが自然だったので、言われないとユージさんがプレイヤーだと気づかなかったよ。


 「もうそろそろ雨も降るだろうし、向こうで座って話そうか」


 ユージさんは、奥にある屋根付きの休憩所を指差す。

 私達はそこに行き、長椅子に二人並んで座った。

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