お二人様のモフみみ錬金術師
すみ 小桜
第1話~プロローグ
私の目の前には、それはそれは素敵なお花畑が広がっています。
「――錬金術師よね! 待っていたのよ。よかった!」
声がして振り向くと、目の前に可愛い精霊が浮かんでいました。触れれるほど近くに……。
「私はね、このお花畑の花の精霊のフラーカル。さあ、あなた達の出番よ! この魔法陣が完全に効力を失う前に、完全復活させて!」
この世界が作りものなんて信じられないけど、精霊がいて私が錬金術師なんて呼ばれているんだから
私は今、美形のモフみみプレイヤーと旅をしています!
□
私がこのゲームを始めたきっかけは、現実世界では楽しみを見いだせなかったから。二十代のOLがゲームにはまるなんて、いや今や普通にあるVRゲームにとうとう手をだした感じかな。
『経験がモノを言う』というタイトルだけど、剣士や魔法使いだけではなく、商人や宿主にもなれると書かれていて、村人としてまったりとした時間を過ごす事もできるゲームだった。
解説には、このゲームにはレベルはありません。しかし、得た経験値を自分の好きな様にパラメータのポイントに振る事が出来ますと書いてあった。つまり、レベル上げはしなくていいって事。
私は、このゲームをする事にした――。
□
キャラ名は『ソレイユ』にした。フランス語で『朝日』という意味。自分の名前、
職業は、ゲーム内で条件をクリアすると獲得できるらしい。まあ村人でまったりする予定なので、それは別にいいや。
種族があるみたいだけど、これも最初に振る初期値によって決まるらしい。ゲームが始まるまでわからない仕様みたい。
どれどれ……。
基本はSTR,DEX,VIT,AGI,INT,MND,LUK。普通のパラメータみたいだけど、注意書きがあった。
STRが0の場合は、武器を装備しないと攻撃力は0です。
DEXが0の場合は、物理攻撃は当たりません。
VITが0の場合は、疲れてすぐに行動できなくなります。
AGIが0の場合は、何も回避できません。
INTが0の場合は、MNDがあっても魔法は使えません。
MNDが0の場合は、回復魔法で回復されません。
LUKが0の場合は、成功率0%になり必ず失敗します。
う~んこれって、必ず1は振れって事だよね。
あと、サブパラメータに握力、視力、聴力、読解力、創造力というのがあった。これにも1を振った方がいいみたい。だって、注意書きにこう書いてある。
握力が0の場合は、武器を装備できません。
視力が0の場合は、何も見えません。また5未満ですと眼鏡など補助アイテムがないと、クリアに見えません。
聴力が0の場合は、何も聞こえません。また5未満ですと、すぐ近くの音しか聞こえません。
読解力が0の場合は、会話ができません。
創造力が0の場合は、一切何も作れません。
結構リアルに作り上げてあるなぁ。
創造力だけは振らなくても問題なさそうだけど、私はまったりしたいけど何か作れるなら作ってみたい。なので、絶対振る!
さてと『経験値10で1ポイント振れます』か。振ったら変更はできないみたいだから、まずは1ポイントずつ振ろうかな。
経験値は500ある。だから50ポイント振れる計算で、視力と聴力には5ポイント振った方がいいよね。見えないのも聞こえないのも嫌だし。
まずは、20ポイント消費した。残り30ポイントか。
まったりモノ作りでもするつもりだから創造力とLUKに残りを振るかな。成功率っていうぐらいだから成功判定はあると思う。
あ、でも、VITにも少し振っておいたほうがいいかな? これがないと行動できなくなるようだから。
で、パラメータはこうなった。
STR:1 腕力:1
DEX:1 視力:5
AGI:1 聴力:5
VIT:9 読解力:1
INT:1 創造力:12
MND:1
LUK:12
戦闘には全く向かないステータスになったけど、村人(予定)だからいいかな。
そして、振り終わると長所と短所を決めてください。と出た。
長所を指定すると、半分の経験値で1ポイントを振れるらしい。逆に短所だと倍必要になる。設定しなくてもいいみたいだけど、長所一つ設定したら短所も一つ設定しないといけないらしい。
どうしようかな……。
この設定は、今しかできないらしい。悩むなぁ。
創造力を長所にしようかな。で、冒険者になる予定はないからSTRを短所にしてっと。
色々悩んだ結果、こうなった。
長所:VIT、LUK、創造力
短所:STR、握力、聴力
見えなくなるのは困るけど、聞こえないのは大丈夫かなっって。まあ5振ったから聞こえない事はないと思うし。
私、まるっきり戦闘する気ないよね。これでいきなり戦闘になったら死亡確定だよ。
設定終了を選択すると、このゲームの簡単な解説を聞きますか? と出たので「はい」を選択。そういえば、最後にも聞けるからって飛ばしたんだった。
――あなたが設定したパラメータにより、スタート地点、種族、年齢などが決定します。種族によって特殊な能力がある場合があります。
経験値は、戦闘の他に、物を作ったり移動するだけでも得られます。何かを発見した時や何かを覚えた時など、色んな条件で得る事ができるので色々試してみてください。
HPが0になった場合は、死亡扱いになります。
攻撃を受けた時、罠にかかった時や失敗した時などにHPが減ります。また最大HPは、経験値によって増やす事も可能です。
種族によってスタート時のHPの値が違います。
死亡するとペナルティが発生し、全パラメータの値が10減ります。
2回目以降は、値が10ずつ増えていきます。2回目は20ずつ3回目は30ずつ、全パラメータが減少。マイナスにもなりますので、注意が必要です。
特に、VITがマイナスになりますとスタミナの減りが速くなり、経験値を得るのが大変になりますので、気を付けましょう。
死亡した場合は、近くの安全地帯にワープします。手に入れたアイテムを収納していなかった場合は、紛失する恐れがあります。
収納アイテムとして、リュックなどを早めに手にれるとよいでしょう。
装備品は、どれでも着用できますが、装備対象と合わない場合は能力が半減したり、専用の装備は対象者しか効果がありません。また装備品は、製造する事も可能です。
スタミナ設定があり、VITに依存しています。
移動、戦闘、物作りなど色々な行動で減っていきます。
回復するのには、休憩(座る・寝る)、食べる(食事・薬)、スキル、魔法などの方法があります。
スタミナが0になりますと動けなくなり、魔法も使えなくなる場合もありますので、注意しましょう。
読解力が低いと、他の種族と会話ができない事があります。また、文献なども読解力が低いと解読できません。
ゲーム内では、文献にも色々とヒントが載っています。参考にしてみて下さい。
では、『経験がモノを言う』の世界をご堪能下さい――。
ふう。読み終わった。
まあ始めてみますか!
辺りが眩しくなり、私はゲームの世界に降り立った――。
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