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「おっと」

 その衝撃で肩から落ちないようにエコバッグの紐を掴んだ。体当たりをしてきたのは小さな男の子だった。

「だいじょう「どけよおっさんっ!!」

「おっ」

 いやおっさんだけどさ!! だけどさ!!

 突然ぶつかって来た少年はそれだけ叫んで数人の子と一緒に商店街の方へ走って行った。

 俺に純粋な子供の言葉と言う刃物で傷を付けていってから・・・いやおっさんだけどさ・・・

 視線を動かすとまだ公園内にいる子供達がこっちを見ていることに気付いた。いやおっさんだけどさ。

「あ」

 その中に知っている顔が一つ。その子は少しだけ困ったような表情をして近づいて来た。

「お兄ちゃんだいじょうぶ?」

「大丈夫だよ、コタロウ」

 全身を濡らしたコタロウが近づいてきて濡れた帽子頭をぺこりと下げた。

「あの、ごめんなさい」

「ん? どうした?」

 なんでコタロウが謝るわけ? ぶつかって行ったのはあの生意気な男の子だろ? あの目、見た目や言葉は子供だけど、明らかに舐めてる感じだったし。一体親はどんな躾けしてんだよって話。

「ぼくがおこったから」

「コタロウが怒ったの?」

 うん、と頷いたコタロウは事の経緯を話し出した。

 どうやら生意気な子供たちは自分の水鉄砲があるにもかかわらず、他の子達のものを奪ってさらにはそれで容赦なく水をぶっかけて遊んでいたらしい。ここにはあの子達に言い返せるような子はいなかったみたいで、そこに来たコタロウがその子たちを注意したらしいがそれに切れて飛び出したら俺にぶつかったらしい。

「だから、ごめんなさい」

 なんていい子なんだよ。同じ子供でもこうも違うものか。

「謝ることじゃないよ。それよりも偉いね、凄いよコタロウは」

 俺がコタロウの歳だったらそんなこと出来なかったろうし。

「そんなことない」

 それでも浮かないコタロウの頭にポンと手を乗せる。

 コタロウがいたからこそ、ここにいる子達が救われたのは事実じゃないか。誇りこそすれ悲しむようなことじゃない。

「ほら、そんな顔しない。ヒーローは笑顔じゃなきゃ」

「ヒーロー? えがお?」

「ほら、笑って」

 みんなコタロウに言いたいことがあるって顔してる。

「頑張ったね、コタロウ」

「・・・うん」

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