ブルー、ベリー
カゲトモ
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買い出しに行かなくてはと、重い腰を上げて扉を開いた。ミンミンと蝉が鳴いて、ジリジリと太陽が肌を焼いている。ああぁぁぁぁ暑い。
こんなことになるくらいならちゃんとメモを書いて買い出しに行っておけばよかった。出勤途中にした買い出しに漏れがあったのは老化のせいか? まだまだ若いし、覚えていられると自分を過信していたのだろうか・・・いやたまたまだって、こういう時もあるさ、人生だもの。
「ふぅ」
公園の横を通ると小さな帽子がいくつも動き回っていた。こんなにくそ暑いのに、良くやっていられる。さすが若い子は体力が違うな、なんてなんでさっきから自虐的なんだ。
暑さや寒さと言った身体に負担の掛かる気温は人をやさぐれさせるのかもしれない。これからの日本も大変かもしれないな、なんて。
「つめたーいっ」
きゃぁきゃぁと楽しそうな声に交じってそんな言葉が聞こえる。どうやら水鉄砲で遊んでいる子供たちがいるようだ。
いいね子供は無邪気で。大人が水鉄砲で遊ぶなんてちょっとむ・・・いや遊園地に行けば全力で遊んでもいいかも。
「んなキャラじゃねぇって」
だよね。俺が水鉄砲で全力で遊ぶのとかギャグでしかないし、第一誰と行くんだって話だよな。うん。
「きゃはは~!」
そんな純粋な声を聞きながら、その昔まだ俺が高校生の頃に女子のカッターシャツに水鉄砲で水を掛けていたクラスメートのことを思い出す。
あの頃は良かった、なんてね。俺は部外者で目の保養だけさせてもらっていたけど。
「・・・あつ」
そんなことより早く買い出し終わらせて店に帰らなきゃ。必要以上外に居たら干からびるわ。若い子みたいにフレッシュじゃないし。
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