礎

第1話

彼には過酷な運命が待っていた。

今日ここでこの国の未来にとって重要な会議が開かれた。

平和な社会計画、通称はPeace Social Planの頭文字をとってPSPそのための会議である。

この国は一見すると警察は優秀で治安が良く平和のように見える。

だが実際は絶妙なバランスの上で成り立っている。国内での犯罪は年々増えていっている。特に目立つのが年寄りをターゲトにした詐欺や、インターネットなど新たなテクノロジーを利用したサイバー犯罪だ。

問題は国内だけではない。海を渡ってすぐそばにある国は年々軍備を増強しているし、後ろ盾になっている国はトップが変わりどう舵を切られるかわからない。

このような様々な平和を阻害しそうな問題を包括的に考えて社会をより平和にするにはどうすればいいかを話し合われていた。

会議が終了すると参加者はみんな疲れ切っていた。

そんな労をねぎらうために予定通り近くにある中華の高級料理店の料理が次々と運ばれて来た。

日本料理ではなかなかお目にかかれない食材が使われた料理が机には並べられていた。

各々好きな料理を手に取り談笑しながら食べられていた。

彼には過酷な運命が待っていた。

彼は彼らの血となり肉となった。

月はあんなにも綺麗に輝いているのに彼はどうして死ぬことになってしまったんだ。

彼の犠牲の上で平和な社会が紡がれていく。

彼とは一体なんだったんだろう？