巫女

勝利だギューちゃん

第1話

神社が好きだ。

それも、メジャーな神社ではなく、あまり知られていない神社が好きだ。


大きい神社でなくていい、小さな神社が好きなのだ・・・



ある日、俺は休みを利用して旅に出た。

別に旅先での出会いは期待していない。むしろ、あまり関わりあいたくない。

そのため、あまり人気のないところを、歩くようにしている。


しばらく旅を続けた後、ある神社にたどりついた。

その神社は、かなり小さいがとてもきれいだった。

氏子さんや巫女さんが、とても真面目な方なのだろう・・・


「せっかくだからな・・・」


そうして、鳥居をくぐった。

お賽銭箱に小銭をいれ、二礼二拍手一礼をする。

願いごとは、「心願成就」だ。

これで全てまかなえるので、いつもこうしている。



神社を出ようとした時、1人に声をかけられた。

「もしよろしければ、休んでいきませんか?」

えらい、美人がそこにいった。


格好からすれば、間違いなく巫女さんだ。

腰まである長い髪で、黒い瞳をしていて、体型もグラマーだった。


美人とは思ったが、淡い出会いは期待していなかったので、断ろうと思ったが、

疲れていたので、承諾した。


「おひとりなんですか?」

社務所に案内され、お茶と和菓子を出される。

「はい、有給をとって、ひとりで旅をしています」


俺はお茶をすすりながら答えた。

巫女さんは、「いいですね」とにこやかに答えた。


俺は巫女さん訊いてみた。

「他の方は、いらっしゃらないんですか?」

「ええ、私ひとりで、きりもりしています。」と、笑顔で答える。


それから、巫女さんのこと、この神社の事をいろいろ訊いてみた。

こちらからも、いろいろと話した。

巫女さんは、「大変だけど、毎日が充実しているんだな」と、羨ましくなった。


楽しい時間があっという間にすぎるもので、そろそろおいとましなければならなくなった。

巫女さんは、残念そうだったが、「少しだけ待っていて下さい」と言って、席をはずした。


しばらくして、巫女さんが小さな包み紙を持ってきた。

「よろしければ、後で食べて下さい。急いで作りましたので、不味ければごめんなさい」と、渡された。

俺は礼を言うと、その神社から出た。

巫女さんはなごりおしいのか、いつまでも手を振っていた。


その時、鳥居に一羽の鳥がとまっていたが、その時は気にしなかった。



列車の中で渡されたものを食べる。おむすびが3個入っていた。

とても、美味しかった。

よく見ると手紙が入っていた。

そこには。ただ一言「またね」と、タメ言葉で書かれていた。


家に帰り、鳥居の上にいた鳥の事が気になり、調べてみた。

それを見たとたん、俺はあの鳥の意味がわかり、愕然とした。


巫女さんと再会するのは、それから間もなくだった・・・

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巫女 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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