誘い

勝利だギューちゃん

第1話

ここは、とある場所にある「飛勇(ぴよん)神社。

私はここで、巫女をしています。


申し遅れました。私の名前は「百木彩(ももきさや)」

この、飛勇神社の一人娘です。

年齢は20歳で、進学をしようか迷いましたが、両親の嘆願もあり、巫女として働く事になりました。


なぜなら、私には不思議な力が宿っているからです。


この神社には、毎日たくさんの蝶がやってきます。

鳥居の上に、ひらひらと集まってきます。

その数は、多い時で1日数100頭にも、達します。


どうして、この神社に集まるのかというと、この神社は、あの世への中間地点。

この蝶たちは、死者の魂なのです。


その大きさは、大小さまざまですが、これは享年齢です。


私に宿った力とは、この蝶たちと会話が出来るのです。

生前の行いがどうであれ、天国に行かせてあげたいのが、本心からの願いです。

出来る限りの事をして、後はあの世で神様に、裁いてもらいます。


今日は鳥居の上に、1頭だけのようですね。

話しを聞いてみます。


「あなたは、この世に未練はあるの?」

私は名前は聞かず、男女問わず、「あなた」と呼んでいます。

「僕は、未練はありません。・・・といえば嘘になります」

口調からすると、思春期の男子のようです。

「どんな未練ですか?」

「僕はいじめを受けていました。でも、怨む事はしませんでした。

いつか見返してやると思ってました。それが出来なかったのが未練です。」

死因については、私は訊きませんが、どうやら自殺ではないようです。


会話をしていると、死者の生前の様子が、手に取るようにわかります。

どんな人にも、いえ、生物にも死は平等ですが命は平等ではありません。

出来る事なら、生き返らせてあげたい方もいますが、それは自然の法則に逆らいます。


話しが終わり、蝶があの世へと旅立つとき、私は会話から得た情報を元に、手紙を書きます。

この手紙は、「この子を天国に行かせてあげて下さい」という、神様への手紙です。


後はどうなるかは、神様次第。蝶たちは、もう無力なので、自分ではどうすることも出来ません。

今日の子も、「ありがとうございます」と言って、旅立って行きました。


蝶たちが、どうなったのかは、私には情報は来ません。

でも、あの世で幸せに暮らしていると、信じています。


では、私の話はこの辺で・・・

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誘い 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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