第14話いつから好きに

 二人は並んでベッドに横になっていた。横を向いて、お互いの顔を見る。

「こういうの、ドラマであったね。」

Yunが言って笑う。

「キスシーンのちょっと前だったな。」

自分の腕に頭を乗せて、Roiが言う。

「Yunは、いつから俺の事を好きになった?初日の訓練の時か?それとも、キスシーンを演じてから?」

Roiがそう聞いたので、Yunは初めてRoiと出会った時の事を思い出した。オーディションの日、人垣の中で頭一つ出ていたRoi。どんどん近づいてきて、いつの間にか目の前に立っていたすごくかっこいい人。

「一目惚れかな。Roiは?いつから僕の事を好きになったの?」

Roiもまた、Yunと初めて会った時の事を思い出した。不安そうな顔でこちらを見ていた、天使のような顔の男の子。思わず吸い寄せられて、声を掛けたらなんとエントリーナンバーが一番違いだったとは。

「俺も一目惚れだな。」

そう言って笑った。

「俺たち、オーディションのエントリーナンバーが隣同士だったんだもんな。運命を感じるよな。」

「うん。でも、それだけじゃないよ。僕、ファンミーティングの時、いつもMCの人の質問に恥ずかしくて上手く答えられなかったでしょ。そんな時、Roiがいつも助けてくれたよね。」

「お前はシャイだからな。というか、若いんだから当たり前か。」

「いつもRoiが守ってくれた。すごく嬉しくて、頼もしくて、どんどん好きになったんだ。」

Yunはそう言って少しはにかんだ。

「俺も、ただYunの事を可愛いと思っていただけじゃないよ。Yunは、撮影中もファンミーティングの時も、俺が一人でいるといつも話しかけてくれたよな。みんなと仲良くなれるように、いつも気にかけてくれた。けっこう頼りにしてたんだぜ、Yunの事。」

Roiはそう言って手を伸ばしてYunの頭を撫でた。Yunは嬉しそうな顔をして撫でられていたが、ふっと表情を曇らせ、Roiのその手を取って、胸の前で握った。

「またこうして会えるかな?ずっと会えないのは嫌だよ。」

なかなか見られないと思っていたYunの切ない表情は、ここでもまた見ることができた。

「そんな顔するなって。まあ、その顔好きだけど。」

Roiはニヤっとした。

 そこで、Yunの電話が鳴った。マネージャーのSaiからだ。と、ほぼ同時にRoiの電話も鳴った。二人同時に出る。

「Yun、良いニュースよ!2Luna storiesの続編が決まったわ。役者もスタッフもすべて継続ですって。一か月後に撮影開始よ!」

Yunは電話を切ってRoiを見た。Roiもマネージャーからの電話を切ってYunを見た。二人は顔を見合わせて、それから抱き合って声を上げた。

「やったー!またずっと一緒にいられる!」


 どこまでも優しいRoi。素直でまっすぐなYun。二人の純愛はこれからも続く。


                                   完

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