寝る前に宇宙についてとか考えると眠れなくなるアレ
ゴブリン退治を終え、家に帰った。
今回もまたよしえさんがマッサを希望してきたが、疲れてるからを理由に断った。まるで倦怠期の夫婦のようだ。
自室のベットに横になり、今日の出来事を振り返る。
どうしても今日一日の出来事の中で納得出来ない事がある。自分の体の事だから、自分が一番よくわかる。
僕は、あの時に間違いなく死んだ。
腕を切られた。足を切られた。確かに大変な大怪我だけど、即座に死ぬほどの致命傷だとは思えない。
でも、僕のように腹を刺されて大量出血したのでは、充分に致命傷だと思うのだ。もはや、ヒールでどうこうなるレベルの怪我では無かったはずだ。
ではどうして、僕は生きているのか。
異世界の魔法の仕組みがわからないので、もしかしたらあの怪我はヒールで回復可能な範囲だったのかもしれない。
ただ、感覚として、僕は間違いなく死んだ。という確証があるのだ。なのになぜ・・・。
オーク退治の時にも思ったけど、腕や足が切り落とされてもヒールで再生する。でも、首を飛ばされたらヒールでは回復しない。
という事は、回復魔法とかいうでたらめな物が存在するこの世界でも、必ずどこかに生と死の境界が存在する。
果たしてその境界はどこにあるのか?ここからは死んでますよ。ここからは生きてますよ。それらは決して曖昧なものではないはずだ。必ず、法則が存在する。
そして、今回の出来事から考えると、もしかして僕はその『生と死の境界』というルールの外にいるのではないだろうか?
正確に言えば『死なない』というよりは『死んでも必ず回復する』という事になるのではないだろうか?
どうして僕がそんな体質なのか?それは、おそらく、この世界から見て『異世界人だから』ではないだろうか?
・・・考えてもキリが無い。結局全てが仮説である。自分の体を何度も傷付けて実験するわけにもいかない。
そもそも、最初に考えたように実は死んでいなくて、ヒールで充分回復可能な範囲だった可能性だってあるのだから。
例えば頭を潰されたら。一瞬で体を粉々にされたら。それでも回復出来るようには思えない。
もしかして、実はそれでも回復可能なのかもしれない。
頭の中を、答えの無い疑問がグルグル回る。
そういえば、この疑問に答えてくれそうな人が1人だけいる。僕がこの世界に来るキッカケになったあのローブの人だ。
どうすればもう1度会えるだろうか。僕は、僕という存在は、この世界にとってどういう意味があるのだろうか?
それを知るためには、やっぱり最初に言われたように魔王を討伐するのが一番なのかもしれない。
昨日までは、ただなんとなく異世界生活を送っていた。いまいち魔王討伐にも現実感が無かった。
でも今日の事があってから、少し具体的に魔王討伐を考え始めようと思った。
僕と、そしてこの世界の、謎を解明するために。
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