人間は化物だ

黒豆

第1話

この世界は僕の居場所ではない。そう感じて仕方がない。酷く気持ち悪く、吐き気がする。なぜだ?それは人がゴキブリを見る時と同じようなものなのかもしれない。僕にとって他の人間は別の生物にみえているからか?それすらもわからない。善と悪の葛藤、自己という存在、人格そのものが酷くバラバラだからだろうか。一つ言えることは、僕にはなにもないということだ。血と肉と細胞すらも、感じない。冷たくて、寒いそんな感覚に常に晒されている。この世界は残酷で酷く気持ち悪い。そんなフィルターでしか僕の目はこの世界を見ることができない。それが当たり前の世界として生きている僕はなんのために生きているのだろう。ああそうか、僕はただほしかったのだ。心が、愛が。人間になりたくて、なりたくてしょうがなかったんだ。ああ、気持ち悪い気持ち悪い。どうして生きるということのみで満足できないのだろうか?どうして人はこんなにも気持ち悪いのだろうか?なぜ僕はそんな気持ち悪い人間になりたいのだろうか?どうして僕は生きているのだろうか?疑問は常に生まれるがその答えに正当も不正当もない。要は価値観の問題で、人間とは酷く狭い一つのパラドクスの中でしか生きられない矮小な生き物なのだ。僕もそんな自分が嫌いで嫌いで、常に自分を否定しては殺して殺して、いつになったら僕は僕でいられるのだろうか。いつになったら僕は生きられるのだろうか?内の中で死ぬほどにたまったこの憎悪は自己を侵食していき、蝕み喰らう。この1秒でいいたった1秒でいいから、僕は僕でありたかったんだ。ああありがとう、世界、ありがとう神よ、この世界に終わりをくれて。

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