第2話 もう一人の私
31歳・既婚・女性
都内在住
158センチ
B.88 W.60 H.85
【好きな異性のタイプ:優しい人のちょっとSな感じとか。。。】
【コメント:秘密を守れる人と楽しい時間を過ごせたらいいな】
まぁこんなもんでしょ。
ざっと見返して、スマホに表示された登録ボタンを押す。
既婚者限定の出会い系サイト。
このご時世、踏み出すのなんて簡単だ。
年齢と住所には少しだけ嘘を。
体のスペックは、会ったらバレるから本当のことを。
スリーサイズは盛らなくても、そもそも自信があった。
子供を産んだとは思えない、とよく褒められる女性らしい曲線を描いた体。
あとはプロフィール写真に、小ぶりだけど厚ぼったい唇のアップを使って完成だ。
年齢を上に書いたのは、若い女と遊びたいだけの男を遠ざけるためだ。
このサイトには、好みの異性の条件を絞り込んで検索できる機能がある。
男性から見て、女性が20代か30代かの差は大きい。
とっかえひっかえ遊びたい複数の男達と一度限りの関係を持つよりも、
安全でドライ過ぎない恋人ごっこを継続的に楽しみたい一人の相手を探す方が
リスクが少ないと踏んだのだ。
自分より若い男もいただけない。
安全な遊びには、慎重さが不可欠だ。
完全犯罪の相棒に、思慮に欠ける考えの持ち主では困るのだ。
この思惑を叶えるために、30代の人妻という生々しさと、ふつうぽさは相応しい。
けれど数千人いるであろう登録者の中で、埋もれてしまっては困る。
興味を惹くように、含みを持たせて、ミステリアスに。
結果として、戦略は概ね当たりだった。
登録から一時間も経たないうちに、続々とメッセージが届き始めた。
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