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幕間 ~プロローグ~

「まず、何から話せばいいか。お前は『異世界』って言われて、何だか分かるか」

 天板が透明なテーブルを挟み、向かい合う二人。一人は寝癖をそのままにしたかのようにボサボサの短髪を掻きながら、一つの単語について問いかける。もう一人は左右に頭を傾げ、橙褐色のショートヘアを僅かに揺らしつつもその質問に答えを返す。

「死んだ人の魂が行く場所とか、魔術師連中が使う召喚獣の出所とかが『異世界』に当たるんじゃないの?」

「まあ考え方は間違ってないな。今、お前が生きているところとは違うモノが存在する場所。それが『異世界』だ」

 腕を組みながら、ひとしきりその返答を咀嚼するかのように頷く。徐々にその咀嚼のような頷きは小さくなり、止まった。

「一つ付け加えるなら、それらはあくまでも想定範囲内の世界。俺の言う『異世界』はの世界だな」

 相手に話すというよりは、自分自身に確認を取るように呟く。もったいぶるような言い方に一種のもどかしさを覚え、思わず顔をしかめながら逆に質問を返す。

「話が見えないね。あなたが言うその『想定範囲外の異世界』って何なのさ」

 一回り大きく、そして強い声で言われたことに若干の驚きを覚える。しかしながら、うろたえず逆に小さく笑いながら、吠える犬を落ち着かせるようになだめた。ひとしきり落ち着かせると溜息をつきながら語り始めた。 

「本来、交わるはずのない独立した世界が幾千も存在する。俺含めこの世界の住人が知らないだけでな」

「問題はその幾千の世界の住民が偶に紛れ込むんだ。そいつらのことは……」


「『異世界転生者』と俺は呼んでいる」

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