君の隣で

あかねってぃー

花火大会

「ねぇ一緒に花火大会行かない?」

そう簡単に言えたらこんなに苦労していません。

私は君にフラれたあの日から、告白する勇気が完全に消失しました。

千尋の部屋は、いい臭いがして、メイク道具が揃っていて、くまのぬいぐるみがあって、いかにも女子の女

部屋ではなく、好きなアーティストのイメージキャラクターのパンダで埋め尽くされている言わばオタクの部屋。

足元には、愛犬のマル。マルは千尋が生まれた年に買った犬であり千尋の大切な家族である。

そこに千尋は携帯を握りしめゲームをしていた。

「ねぇ…千尋ちゃん」

急に声が聞こえた。

「おーいそこの美少女」

それを聞き千尋は思った。

あー自分の理想がついに声にして聞こえるのように…

「おい聞こえてるのかブス」

そう私はブス!って

「なんなんですか…って誰もいないやっぱり幻聴が聞こえるようになっちゃったんだ私…」

つい、いらっとして幻聴にツッコミを入れてしまった自分に千尋はショックを受けた。すると、 

「下だよ下!」

そこには、きちんとおすわりをした愛犬のマル。

「マル?」

…そんなわけないよね!だってマルは犬だし

「当たり前だ犬は喋らん!」

千尋は、一瞬心が読まれたのかと思った。だがこの程度のことわかるかと思い恐る恐るこう問いかけた。

「じゃマルじゃなければどこのどなたですか?っ言うか第一どこにいるんですか?」

「お前…まず俺を見つけろ。

俺はマルの鼻の頭にいる。よく見ろ!」

そこには全身白色の布をまとった変な小さい小さいおじいさんがいた。

とにかく何が言いたいかっていうと今まで見たことがないよくわからないやつがいた。すると心を読んだかのように

「おい…よくわからないやつじゃない!」

「じゃあなんなんですか?」

するとよくわからないやつが待ってましたと言わんばかりにこう言った。

聞いてくれた!

「やっと聞いてくれた。わしは人の心が読める神様じゃ」

いや、さっき私、誰なのか何者なのか聞いたのに答えなかったじゃん。

千尋は、この言葉をそのときはお酒でも飲んで酔っぱらってるんじゃないかと神様の言葉を信じてはいなかった。

夕方になり千尋は、花火大会に一人で来た。

もちろん、一緒に行く予定の友達はいた。

だがはずせない用事が出来たからっと言われドタキャンされた。

その代わりなぜか神様がついてきた。

千尋は、目の前のカップルをみて、一瞬悲しそうな顔を見せた後神様にこう言った。

「神様さ、本当に人の心読めるならさあるカップルをみて私が今なに考えてるか当ててみてよ!」

千尋は、いかにもラブラブそうなカップルを指差した。

「まぁいいだろう。どれどれ…ほう」

すると神様は千尋の肩を叩いた。

「なによ」

「残念だったな」

「は?」

「お前、あの女の子と花火大会一緒に行く約束してたのにドタキャンされたんだな」

「そうだよ…で私は今なに考えてるか当ててよ」

神様は、千尋の真似をした声でこう言った。

「佐奈、一生で千尋と二人でいればいいから彼氏なんて作らなくてもいいもんねーって言ってたくせに…

今日は、どうしてもはずせない用事が出来たからごめんって…はずせない用事ってデートかよ…裏切り者ー佐奈なんか佐奈なんか…」

「分かった。分かった。信じるから…もうそれ以上私の心読まなくていい。」

千尋は、その後かき氷や焼きそばを食べて神様と二人で花火をみて帰った。




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