先輩の俺と後輩の彼女

ゆうらく

第1話

あぁ、なんて退屈な日々なんだろう。

中学の頃は高校生になったら彼女は出来なくても友達と楽しくやっているだろうな、と思っていた。しかし現実は違った。




俺、一宮一は今【本当はボッチの方が楽しかったんじゃね?】討論会を行っている。はい、1人です。理由?そんなのは簡単だ。


・カラオケの誘いを断ればチャリの鍵を取るイケメン馬鹿。


・周りのノリに合わせようとして俺の邪魔をするヒョロ馬鹿。


・空返事をすれば「ノリ悪くね?」と言ってくるナルシ馬鹿。


俺の友達にはこんなだるい奴らしかいない。なら、いっその事こいつらとの接触を避けることによって夢のボッチ生活を作るか?とか考えているうちに授業の終わりを告げるチャイムがなった。

あぁ、まただるい奴らが来る。とりあえず逃げよう。


俺が3馬鹿から逃げる時は屋上へ続く階段を使う。ここはバレたら生徒指導なので誰も立ち寄らない。なので基本1人になりたい時はここを使うことが多い。

しかし、何故だろう。人が居ないはずの階段に1年?の女子が寝ているではないか。


器用だな〜と感心していると、バランスを崩したのか上から転がってくるではないか!

おーけー、おーけー、整理しよう


1.上から女子が転がってくる。

2.俺は階段の真ん中。

3.避けると女子は怪我するかも。


「答えは出た」と言い俺は端による。

その女子はゴロゴロ転がっていき壁にぶつかって停止した。幸い鼻血だけだったので俺はそのまま教室に戻ろうと足を..つかまれた?


「..なんで...避けたんですか...痛いじゃないですか。女の子が転がってきたら受け止めるのが普通じゃないですか!」うつ伏せのまま俺の足を掴む女子が文句を言ってくる。


「アニメの見すぎだ。あと、俺が怪我したらどうする。責任取れるのか?」と言い返す。

その女子はゔぅ〜と呻きながら「これだから3次元は...」とボソッと呟く


「おい、聞こえてるぞ1年。もし受け止めたとしてToLO○Eるのリトさんみたいにラッキースケベが起きたらどうする?」

「その時はあなたに襲われたと叫びます。」

あ、わかるのね。

「だろ?あと、あなたじゃない先輩と呼べ。」

なぜ名乗らないの?って先輩って響きが好きなんだよ。って誰に説明してんだよ。

「なら、私の事も梅野美咲と呼んでくださいよ先輩。」

なんか、こいつが言うとイラッと来るな。

「何を言うかお前は鼻じー子で十分だ」

もうちょっといい名前ないのかよ!と思いながらティッシュを差し出す。

「なっ!?先輩だからって容赦しませんよ」

キーンコーンカーンコーンと休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴る

「じー子のせいで俺の貴重な休み時間が奪われてしまったじゃないか!」

「じー子言うな!先輩にはじっくり教えこまないといけませんね。放課後まで手首洗って下さいね。」そう言って去ってゆく。

手首?って放課後に会わないといけないの?逃げよう



______一日の課程が終わり今日は部活もないので早めに帰るとする。

「帰ったらまず録画したアニメを見てTwitterの更新、あとは....寝るか。」

などとブツブツ言っていると

「は〜じめ!カラオケいこーぜ!」イケメン馬鹿の歌広場玲がほざく。

俺は当然の如く「ピアノのレッスンがあ「嘘だよな?」...はい。」なぜバレた!?はい、バレますよね。

でもここで諦める訳にはいかない!「でも、ほんとに用事があるんだよ!」と平気で嘘をつく。

「ったくしょーがねぇなぁ貸しにしとくぞ」

「なんで貸しになるんだよ...」

この時俺は背後に迫る危機を感知できなかった。



「どーも先輩、さっきぶりですね。」

「....君子危うきに近寄らずだな」

「どうして逃げるんですか?ねぇ、無視しないでくださいよ。」

「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。僕は何も見えない聞こえない。オバケなんていない。」

「おい、童貞」

「貴様!今なんて言った!?」

俺の聞き間違いではなければじー子は男子高校生に向かって言ってはならないワードNo.1を言ったぞ!?

「童貞と言いました、違いました?合ってますよね?先輩って絶対に彼女いない歴=年齢ですよね(笑)」

「ど、童貞じゃないし!別に見栄張って童貞じゃないアピールしてないんだからね!勘違いしないでよね!」

あぁ、これはキモイな。

「キモっ」

「もう、おウチ帰る。」

「あぁ待ってくださいよ!一緒に帰りましょうよ〜」

「嫌だ。しかも俺の家駅の方だし。」

「いや、なんで私の家が逆方向で話を進めてるんですか...」

「チッ」はよ帰りたい。帰って録画してある君ガイルを見なきゃ。

「ねぇ!今舌打ちしたよね!?そんなに一緒に帰るのが嫌なんですか?」

「嫌だ。お前みたいなめんどくさい女を相手にしてたら日が暮れちまう。」

「だって私.....トモ..いないし...」

「んだよ、聞こえんハキハキ喋れよ」

「私、友達いない。高校に入学してちゃんと喋ったのなんて先輩とだけだもん。皆「梅野さんってアニメとか好きなの?うわぁオタク〜(笑)」って言われて気づいたらいつも1人でこの前なんてクラスにいるのが辛いからトイレでお昼過ごしたし。」

「それって便所飯...わかった!一緒に帰りましょ!?だから、そんなネガティブな話しないでください!」

重っ!隣のクラスの高橋の体重より重い話だぞ。こいつ相当ボッチの極めてやがる。

「まぁ、俺もアニメとか好きだから話ならいつでも聞いてやるぞ。」

「グスッ」

「ほ、ほら!早く帰ろうぜ!そうしないと俺が泣かせてるみたいな雰囲気だから!お願いします!」

「さっきのホントですか?いつでも話聞いてくれるって。」

「本当だから!帰ろうぜ!」

ふぇ〜、皆の視線が痛いよぉ〜

彼のライフはもうゼロよ!



初めはめんどいやつと思っていた後輩は、実はボッチの熟練者でスイッチが入るとネガティブになるヤバいやつでした。



「はぁ、ボッチも大変だな。」

と俺は思ったのであった。

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先輩の俺と後輩の彼女 ゆうらく @utauta1123

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