001話[頼まれ事]

ピーンポーン

普通だったら迷惑な時間に自宅のインターホンが鳴った。

僕には全く迷惑な時間帯ではなく、むしろ昼は寝ている。

「はーい」

ガチャ

軽めの扉を開けると

「よっ庵野」

そこにいたのは親友でチームの一員の森 博実だった。

「あ、森。どうした?」

「ハコスカなんだけどよ、チューンしてくんねぇか?」

いや、自分でやれし。

「自分でやれよ。それぐらい」

僕は言った。

「いやー、仕事が忙しくてよ。イジれねぇんだ。だから」

お願いって手合わせしてきた。

そんな言われたら断れないのがこの庵野だ。

「わかった。やってやる。期間は?」

「1ヶ月」

1ヶ月?楽勝じゃん。まずエンジンは八九寺に言えば良いか。

「じゃ、よろしく」

そう言って扉を閉めた。

アイツ、どうやって帰る気なんだ?ここ江東区だけど、アイツ、荏原だよなぁ?ま、いいか。

……

次の日、八九寺にエンジンの電話を掛けた。

~「もしもし?L28?あるぜ。明日?分かった」~

(電話は~「〇〇~〇〇」~で表現します)

ボンネットを開けると、キレイなS20が収まっているが、静かにそのエンジンを下ろし、オーバーホール。綺麗にしてL28に入れようと思った。

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