第26話

 君に会ってから、1週間が過ぎた。




 つまらない。


 何をしても満たされることはなかった。

 生きているのがだるいとすら思えた。



 なぜかはわかっている。


 わかっていてもどうにもできないことだってあるのだ。


 違うか。どうにもできないわけではない。どうしようもないバカな僕がいるのだ。



 僕は、きっとまた君を傷つけてしまった。

 それを謝ればいいだけなのに、それができない。

 

 自分がどうしたいのかわかっているのに行動に移せない理由がわからなかった。


 君といると嬉しいのに、心がざわつくことがある。おそらくそれが答えなのだろう。



 僕は恐かったんだ。


 君が僕のことをどう思っているのか知ることが。


 人を好きになることがこんなにも大変だなんて思わなかった。

 それは本の中だけの話で、自分がそうなるなんて思ってもみなかった。



 君でなければ、僕は恋をしなかった。


 君だったから、僕は心を開けた。


 君に笑ってほしくて、一緒にいたくて、触れていたくて……


 僕は、やっぱり君が好きみたいだ。それも、どうしようもないくらいにね。



 全てのことは考えれば考えるほど君に収束していく。

 答えはシンプルなものだった。



 恐くたって、伝えなければいけない。

 それを否定できるものなんてこの世界に存在しないはずだ。

 病気? 余命? 彼女が僕を嫌いだったら?

 そんなことは知らないね。解はもう出てるんだ。


 僕は君が好きなだけさ。




 そうだ、お昼ご飯を食べたらロビーへ行こう。久しぶりに手紙を書こう。まずはそれで謝らないとな。それから会う日を決めて直接謝ろう。

 でも、会ってくれるだろうか……

 急にまた恐くなった。


 そんなことを考えているとノックもなく病室のドアが開かれた。


「来ちゃった!」

 満面の笑みで彼女がそこに立っていた。

「……うん」

「え!? それだけ!?」

 脳が情報を処理できずに脊髄がなんとか対応してくれた。

「え……あの、ゴメン」

 塩対応だった。

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