落下
風船が
浮かんでいた
やがて
ずぶずぶと沈んでゆくのだ
それは誰のせいでもないけれど
風船は
昨日よりずっと低い空を飛ぶことを余儀なくされるのだ
このままいけば
明日の朝には
風船は道行く誰かの足元へと落ちるだろう
その誰かは
これから人を殺しに行くのだろう
もはや風船は地面を転がり
本来の役目を見失っているだろう
劇的な弾ける最後など訪れることもなく
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