放課後、窓際のきみ。
@sirubala_
導入
下校のチャイムが鳴る。
今日の学校が終わる。
夕方のオレンジ色の空は教室に影を落とす。ひとり、ひとり、影は少なくなっていく。
机の影だけが教室に残った。先生が閉め忘れた窓から入ってくる生温い風がカーテンを揺らした。
誰も居ない教室はやけに不気味だ。普段の喧騒なんか想像につかない程、静かで。
でも、
少し列の乱れた机、仕舞い忘れた教科書。折れたチョーク、汚れた黒板消し、黒板には消し忘れた“昨日”の日付。
そう、今は居ないだけで確かにここには生徒がいる。何人もの生徒が毎日登校して下校するんだ。こうやって下校後の夕方の教室がいくら静かで寂れていても、明日にはまた喧騒が帰ってくる。確かな存在が、空間に存在する証。
当たり前の事だ。夕方になる度に生徒が1人消えてしまうのなら、それは当たり前の事じゃないだろうけれど。
窓際のカーテンが揺れた。1つの机を覆い隠すように大きく靡いた、ばさばさ、空中で手招きするように靡いた。
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