第21話 最後の村
それから俺達は数時間歩くと、村の前に着いた。
「なぁセリス」
「なぁに?」
「これ、どういう状況なんだ?」
「どこかの兵士がここの人達を襲っているんだよ」
そう、やっとどこかの村に着いた!と思ったら、村人が兵士に襲われていたのだ。
また面倒事に巻き込まれそうだなぁと思っていると、案の定なことに耳の長い村人がこちらに向かって走ってきた。
ん?耳が長い?まぁいいかと思っていると、
「すまねぇぇぇぇ!助けてぇぇぇぇ!」
「ちっ、仕方ねぇな」
「ほ、本当に助けてくれるのか!?」
「あぁ、だが報酬はもらうぞ?」
「もちろんだとも!」
「よしっ、なら行ってくるよ。セリスはそこの人を守ってやってくれ」
「了解!」
そう言って俺は兵士のいる場所に向かう。そして、今にも兵士に刺されそうになっている耳の長い女の人を見つけた。
なんで、なんでこの村は襲われているの!?と思いながら兵士と戦う。みんな、無事でいて!と願いいながら戦う。私はこの村のみんなの事が好きだ!だから守りたい!そして八人目の兵士を斬った。
だがしかし、現実は甘くない。守りたいものがあっても、圧倒的な数の理不尽さには勝てない。そして、とうとう私は致命的なミスを犯してしまった。
「アッ!」
と何かに躓いて転けてしまったのだ。その衝撃で持っていた剣も手放してしまった。そしてついに私は追い詰められた。
「もう逃げないのか?」
「はい。どうせもう戦えないので」
そう言って私は「村のみんなが無事でありますように」と願い、目を瞑った。そして兵士が剣を振り下ろした瞬間に「パキッ!」という音がなった。私が目を開けると、そこには和服を着た男の人がいて、兵士の剣は半分くらいで折れていた。
「貴様ぁ!いったい何者だ!」
剣を半ばから折られた兵士が吠える。すると和服の男が答えた。
「誰でもいいだろ?」
そう言うと男は姿を消した。
「は?え?逃げた、のか?」
兵士達は混乱していた。人が突然目の前で消えたのだから驚いても仕方ない。そして、その隙に斬られていても仕方ないことだ。
和服の男が元いた場所に姿を現した途端、周りの兵士から血が吹き出た。そして和服の男が近付いて来た。
「あんた、大丈夫か?」
「へ?」
「兵士に襲われてただろ?」
「あ、は、はい!た、助けてくれてありがとうございます!私はメイと申します!」
「礼はいい。あんた戦えるんだろ?ならこの村のために早く戦え」
「は、はい!」
そう言って私は兵士と戦うために走った。
「これでやっと終わりか」
そして俺はセリスのいる場所に行くと、女の人がいた。
「助けてくてありがとうございます!」
「礼はいらん」
「ねぇソウタ、この女、知り合い?」
「そんな怖い目で俺を見るなよ」
はぁとため息を吐く。すると服装が他の人とは違う人が来た。
「助けてくれたことには本当に感謝する。だが一つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
「お前は敵か?味方か?」
「どっちでもない。俺はただ休ませてほしいからここに来ただけだ」
「なぜこの場所がわかった?」
「聞きたいことは一つだってさっき言ってたじゃないか」
「いいから答えろ!」
「ちょっとお父さん!助けてくれた人に失礼でしょ!」
この人はこいつの父親なのかぁと思っていると、
「だがここは本来、数人で来れるような所じゃないんだぞ!それがなんで二人で来れたのか怪しいだろ!」
「そ、それはそうだけど」
「なぁ、ここはどこなんだ?」
「「は?」」
親子揃って俺を見る。なんだよ、そんな珍しい物を見るような目で見るなよな、と思っていると、
「知らずにここに来たんですか?」
「あぁ、俺らはアクアシティに向かっている途中でな、それが途中で迷っちまってここに着いたんだ」
「ねぇソウタ。なんで初対面の女にそこまで話すの?私の時はアイアンクローしたのに、なんで?」
「俺らの状況を教えた方が話しが早く進むだろ?」
「わかった」
するとセリスが大きく息を吸い込んだ。そして、
「私とソウタは付き合ってるからぁぁぁぁ!!」
と叫びだした。みんなポカーンとしている。いきなりの交際宣言に誰も何も言えなかった。
そしていち早く気を取り戻した俺はセリスの頭にチョップする。
「痛いよ!」
「お前はいきなり何言ってんだよ!」
「だってそこの女にソウタがとられるとおもって、」
「なんでそうなるんだよ!心配しすぎだ!」
「だって、だってぇぇ」
と、セリスは泣き出してしまった。泣いてしまったセリスを抱っこし、耳の長い人達と話しを続けることにする。
「で、ここはどこなんだ?」
「ここは最後のエルフの村なんです」
「最後?」
「はい、私達はもうあと五十人もいません。なので隠れて過ごしているのです」
「さっき襲われてたじゃないか」
「そうなんです。何故ここにいることがわかったんでしょう?」
耳が長い理由はエルフだったからなのか、と一人で納得していると、女のエルフの父親がまた来た。
「お前が敵じゃないならここで休ませてやる。だから、ここのことは他言無用にしてくれ」
「わかってるよ。じゃあそこの女の人」
「は、はい!」
「案内してくれ」
「はい!」
女の人は何故か嬉しそうにしている。疑問に思ったので聞いてみる。
「なぁ、なんでそんなに嬉しそうにしているんだ?」
「だって私、助けられたの初めてなんですもん!」
「そうなのか」
「あのーもしかしてですけど、私の名前覚えてません?」
「あ?初対面だろ?」
「はぅっ!」
何故か女の人の膝が崩れた。
「あの、私、メイです」
「………………あぁ、あの時の」
「やっと思い出してくれたんですね!」
「悪いな。あの時は急いでいたからな」
「やっぱり知り合いだったんじゃない」
セリスがぷくーっと頬を膨らました。可愛いかったのでつい頭を撫でると、気持ちよさそうにするが、まだ少し不機嫌だ。
「今日はここで休んでください!」
そう言って宿みたいな場所を紹介してくれた。
「では、また後で!」
そう言ってメイは走っていった。ん?また後でってどういうことだ?と思いながらも宿に入った俺とセリスだった。
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