Face to Face
仲村 歩
第1話 ログイン
ここはアークラインと言う大きな街の一角。
と言っても現実世界ではなくマッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム。
つまりMMORPG。
フルダイブタイプの高度な仮想現実の世界。
足元には綺麗な石畳の道が続いていて煉瓦色で統一された屋根の四階建てや三階建の家々はパステルカラーで彩られ窓には花が飾られている。
街の中心には一際高いシティ・ホールがあり。
役所の前には石畳の広場があり大きな噴水が虹を作り続けていてメルヘンチックな中世の街並みが広がっていて。
そんな街は城壁に囲まれていて城壁の外には広大な大地が広がり。
遠くの空には浮島や浮遊城まで。
夢のような世界といえば夢の世界だけど高度な科学は魔法の世界である。
パラレルワールドを創り出してしまったのかもしれない。
心地良い風が頬をすり抜けていく。
VRMMOの歴史は平坦ではなく過去には凄惨な事故があって衰退の一途を辿るかと思われたがアナザーゲートと呼ばれているVRMMO作成および制御ができるフリーソフトによって新しいVRMMOがいくつも構築され人気が出たけれど不安要素は皆無ではなく。
VRMMOの闇と言って良いのか分からないけれどアナザーゲートは突然アップされ作者不明だという事らしい。
私が潜っているゲームは発売されてから5年以上経っているが人気は衰えるところを知らない。
バージョンアップを繰り返し同一のソフトで創られている世界中で展開しているVRMMOともリンクし世界は広がり続けているのが人気の要因だろう。
色々な神話などをモチーフとしたファンタジー系の世界からシューテイング系のリアルな銃火器の世界まであり。
魔法を使えたり拳銃を扱えたり現実世界では不可能なことがこの世界ではリアルで体験することが出来る。
純粋にバトルやダンジョンを楽しむことも出来るけど。
それ以上にこの世界では農業から酪農のみならず漁業まですることが出来て生産物を販売しスキルを上げれば生産物を加工することも可能で、釣り好きなら魚を釣り販売し更に大物を釣るための道具を購入することも出来る。
まさにパラレルワールドと呼べる世界が構築されている為に様々な人がゲームを楽しむことが出来るのも人気の一つだろう。
レベルを上げ仲間を増やし村や小さな町を作っているプレーヤーもいる。
この仮想現実の世界をリアルに作り上げるためかは分からないけれどゲームに登録するためには現実世界のIDカードが必要で。
IDカードには顔写真はもちろん身体的特徴からでDNAまで登録されていて。
このカードさえあれば現実世界では生活することができる。
その為に仮想世界のアバターは現実世界の本人に近いものになっているけれど個人で多少デフォルメすることが可能だ。
獣人からエルフの様な妖精まで様々あり個人でデフォルメしない場合はランダムでデフォルメされてしまう。
この世界での私はエルフで名はアスハ。
エルフはリアルで言えば人間と同じ、違うのは尖った耳をしててるだけ。
白いフィットしたタンクトップにスカイブルーでミニのフレアースカートと腰には幅の広いレザーのベルトをして。
スタンドカラーでノースリーブのテールコートのようなマリンブルーの上着を着てブレストプレートを付け肩当てのスポールダーとガントレットを左腕に装備している。
武器は細身の片手剣で女の子は余程の事が無い限り軽装のアーマーしか付けない。
理由は俊敏性を犠牲にしたくないから。
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