大航宇宙時代 1
メェクドナルドゥで時間を潰している時に、ミサキがキングのスマフォを横から覗きながら言う。
「あら、また新しいゲームを始めたの?」
「ああ、そうなんだ、『
金儲けのゲームだと知って、ジミ子が興味を持ったようだ。
「そのゲーム面白い?」
キングに聞くと、こう答える。
「うーん。俺には合わないかな。金を儲けられるルートが見つかれば、そのルートを荷物を載せて行ったり来たりして、ただ往復するだけの行動になりがちからな。作業が面倒くさいだけのゲームって感想だ」
「なるほどね。そう聞くとあまり面白そうじゃなさそうね」
キングの説明を聞いて、ジミ子は興味を無くしてしまった。
僕らも、この説明だと興味を持てず、次の話題に移って行った。
この日はこの後、みんなで猫喫茶に行って時間を潰す。
それぞれ紅茶やコーヒーを飲み、ミサキは猫をなで回す。
のんびりとした時間を過し、夕方過ぎに解散した。
家に帰ると姉ちゃんが、お酒を飲んでいた。この日は仕事が早く終わったようで、すでに3本ほど空き缶が並んでいる。
「弟ちゃん、今日は何して遊んでいたの~、姉ちゃんに教えてよぉ~」
酔っ払っていて、かなり面倒くさい状況だ。
「分ったよ説明するね。今日は『動物ノ王国』の経営する猫喫茶に行ってきたよ」
「駅前にあるヤツよね、それでそれで?」
酔っ払いが相手なので、適当に話をすると、どうやら納得したようだ。
「そっかぁー、他に何かあった?」
「ええと…… そうだ、キングが『大航海時世』っていうゲームをやっていたよ。中世の大航海時代に、船を行き来させて貿易をするゲームなんだけどね」
「へぇ、そんなゲームもあるんだ。もしかして、ただ船に荷物を積んで、輸送するだけ?」
「うん、そうみたい」
「そんな内容で良いんだったら、うちの会社でも作ってみようかしら」
そう言って姉ちゃんはスマフォを取り出し、どこかへメールを出していた。
この後、姉ちゃんは酔い潰れて、僕と父さんでベッドに運び込んだ。
翌日になり、僕らはキングの家で遊んでいると、姉ちゃんからメッセージが飛んできた。
『弟ちゃんから教えてもらったようなゲームを作ったわ。まだ未発表で、面白かったらリリースしようと思うんだけど、良ければちょっと遊んでみて』
そこにはダウンロード先と見られるURLとQRコードが貼り付けてあった。
「私が始めにインストールしてみるわね」
姉ちゃんの事を尊敬しているジミ子が、真っ先に動き出す。
僕らは、まずジミ子の様子を見た後で、遊ぶ事にした。
ジミ子がゲームをインストールして、アプリを立ち上げる。
すると『
「『大航宇宙時代』って何かしら?」
ミサキが疑問をぶつける。僕は、このタイトルに思い当たる事があったので、説明をする。
「昨日、キングが『大航海時世』ってゲームをやってたじゃない。その内容を僕が姉ちゃんに説明したから、おそらく似た内容のゲームなんじゃないかな?」
ヤン太が何となくゲームを予想して言う。
「『大航海時世』が、海を航海して貿易をするゲームだから、『大航宇宙時代』は宇宙を渡り歩いて、貿易をするゲームなのかな?」
「それはすげぇ面白そうだ!」
キングがやや興奮気味に言う。確かにこのゲームは面白いだろう。少なくとも『大航海時世』よりは面白そうだ。
「インストールが終わったから起動するわよ」
ジミ子がゲームを始めようとすると、キングがこんな提案をしてくる。
「どうせだったらテレビに映して、大画面で見ようぜ」
キングはどこからかケーブルを取り出し、テレビへと繋いだ。これで準備はバッチリだ。
ゲームを起動すると、『大航宇宙時代』という、シンプルなタイトルロゴが現われ。続いてこんな注意書きが表示される。
『このゲームは1年間が1分で過ぎていきます。ゲームに出てくる惑星と星人は実在しますが、登場人物は架空です』
「ん? どういう事?」
ミサキが思わず声を上げる。僕も意味がいまいち分らない。
メッセージアプリで姉ちゃんに意味を確認すると、こういう答えが返ってくる。
『ああ、それは、ゲームに出てくる惑星は実際に存在していて、そこには本当に異星人が住んで居るんだけど、異星人の写真をそのまま使うと、著作権に問題が出てくるから、異星人の名前と画像は架空という意味ね』
僕がさらに質問をする。
『異星人の写真をそのまま使えないの? どういう姿なのか気になるんだけど?』
『ええと、
『えっ、あー、そうなんだ』
宇宙人の判断基準がよく分らないが、未成年の僕はそう答えるしかなかった。
「そろそろゲームを始めるわよ」
ジミ子が注意書きの表示から、ようやくゲームを進める。
どんな異星人が出てくるのか、楽しみでしょうがない。
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