必要と不必要 1

 ある日、僕はミサキの家に呼び出された。

 ミサキ家に行き、ミサキの部屋に入るとジミ子が既に座っていた。


由々ゆゆしき事態が起こり、これから緊急対策会議を開きます」


 ジミ子が真面目な顔をして言う。


「このテーマに対しては既に手を回しておきました。ツカサのお姉さんの協力を得てます」


 ミサキがニヤリと不適な笑みを浮かべた。


「なかなか、やりおるではないか」


 ジミ子も、クックックといやらしい笑い方をする。



 僕は何が何やら全く分からない。


「いったいなんの話?」


 そう言うと、ミサキが少し怒りながら、理由を話してくれる。


「キングの案件よ、FカップよFカップ。ありえなくない、あのスタイル」


「そうよ、あのバストサイズはありえないわ」


 ジミ子も半ギレの状態で言ってきた。

 ヤバい、この二人はバストに関しては極めて狭量きょうりょうだ。

 下手な発言をしてしまうと、どうなってしまうのか想像もつかない。



 しかしなんで僕が、わざわざここに呼ばれたのだろう?

 出来ればこんな場所には居たくない。

 なんとか抜け出す理由を見つけるため、質問をする。


「ちょっといい? なんで僕が呼ばれたの?」


「よくぞ聞いてくれました、まず、これを見て」


 ミサキは宇宙人の使うL字型の銃のようなモノを取り出してきた。


「それって本物?」


 僕が質問すると、ミサキはドヤ顔をしながら答える。


「もちろん。お姉さんから借りてきた本物よ」


「何につかうの?」


「それはね、えい!」


 ミサキはいきなり僕に向けて電撃を放つ。

 もちろんよける暇など無く、僕は直撃した。


「いたっ、いきなり何をするの!」


 何の理由もなく電源を浴びせるとは、イタズラにしてもちょっと酷い。

 だが、それを見ていたジミ子の反応が少しおかしい。


「私も、私にも撃って」


「分かってるよ、えい!」


 今度はジミ子に向けて発砲する。

 撃たれたジミ子はウットリとニヤけている。


「次はわたしね、えい!」


 ミサキは自分に電撃を放った。

 そして撃った後は顔がこれ以上無いくらいニヤけている。


 なんだこれ、マズイ。



 僕は心配になってミサキに声をかける。


「ねえ、ミサキ、大丈夫?」


「ええ、大丈夫よ。これで私たちは手に入れたわけよ」


「手に入れたって何を?」


「バストよワンランク上のバストサイズを手に入れたの」


「えぇ~」


 驚きの声をあげる僕に、ジミ子があきれた顔で僕に聞いてくる。


「聞いてなかったの?」


「聞いてないよ!」


「説明してあげなよ」


 ジミ子がそういうと、ミサキはスマフォを見ながらようやく説明を始めた。


「ええと、この銃に撃たれたものは胸が成長します。

 遺伝子操作などは一切なく、あくまで成長し切れてない部分を成長させるだけです。成長し切っている人は、胸が大きくならない可能性があります」


「なに、それは胸がおおきくなる銃なの?」


「そうね、大きくならない可能性もあるけどね……」


 困ったぞ、僕はこれ以上大きくなりたくない。邪魔なだけだ。

 しかし、この二人を前にそんな事をいったら、最悪の事態を招くだろう。



 僕は話題を少しそらす事にした。


「なんで僕が呼ばれたわけ? 二人だけでも良かったんじゃないの?」


 するとジミ子が悔しそうにいう。


「私らだけでは成長してもキングに勝てそうにないじゃない」


 危うく『うん』と返事をしそうになったが、僕はそれを飲み込んだ。

 ジミ子は話を続ける。


「キングに勝てる可能性があるのはツカサぐらいでしょ」


「ええ、あ、そうかな?」


「効果が出るのは三日後だから、その時にまた集まりましょう」


 ミサキがそう言ってこの日は別れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る