必要と不必要 2
そして三日後。僕らは再びミサキの部屋に集まった。
「みんな成果はどうだった?」
ミサキがニコニコしながら呼びかける。
「なかなか手応えがあったわ」
ジミ子も笑顔で返す。
「ツカサはどう?」
ミサキが僕に話しを振る。
「ああ、うん。大きくなったと思う」
あの銃はかなり効果があった。今まで使っていたブラジャー…… 胸サポーターがかなりキツくなった。
「さて、では計測しましょうかね」
ミサキがにやつきながら、メジャーを手に取る。
「1番手、ジミ子3等兵行きます!」
ジミ子がTシャツ姿になる。
ちなみに兵士の階級は2等兵が最低で、3等兵という階級は無い。
もしかして3等兵という階級を名乗る事で、自分の胸を自虐的に表現しているだろうか?
だが、そんな立ち入った話しを聞けるハズも無く、僕は聞き流す事にする。
「アンダーは変わりなし、トップは増えてます。
前はAAで今回は、ええと…… 表によるとAか。もうちょっとでBだったのに残念」
ミサキがちょっと悔しそうに言うが、ジミ子は満足しているようだ。軍隊のような返事を返す。
「1階級の昇進でありますな」
「そうであります」
ミサキもその返事に合わせる。
二人ともテンションがおかしい。
「次は自分の番でありますな」
こんどはミサキがシャツ姿になり、メジャーをジミ子へと渡す。
慎重にサイズを測るジミ子。
「アンダーは変わりなし、トップは…… おお、Cカップです」
目を見開いて、ミサキはジミ子に確認をする。
「本当でありますか?」
「本当であります!」
どうやら軍隊形式のやり取りが気に入ったようだ。
ふたりとも楽しそうなので、ほうっておこう。
そしていよいよ僕の計測となる。
「ツカサ、ブラジャー外して」
「はいはい」
ミサキに言われて僕はTシャツの下で胸サポーターを外す。
すると、いままで押さえていたバストがポスンと跳ね上がった。
「……でかいわね」
「……でかいね」
ミサキとジミ子は素に戻る。
「じゃあ、計るわよ、ええとアンダーがこうで、トップが…… これGカップじゃない?」
ミサキがそう言うと、ジミ子が声を張り上げた。
「ばかな! ちょっと私にも計らせて。…… Gだ!元がEだから、二階級特進だ!!」
そんな殉職した人みたいに言わなくても……
しかしGか…… これから体育の授業とか、いろいろと大変そうだ。
そんな事を考えていたら、ジミ子が目を見開いて僕にこう言ってきた。
「ちょっと触ってもいい?」
それにミサキも続く。
「私も」
ジミ子の目が怖い、断るとどうなるかわからない。
僕はできるだけ平穏を装い、返事をする。
「別にいいけど」
言うが早いが、わしづかみにされる僕の胸。そして揉まれる僕の胸。
「ちょ、ちょっと」
「ふおぉ、ふおぉ、これがG!」
ジミ子の瞳孔は開ききっていた。
しばらく揉しだかれた後、ようやく僕は解放される。
「しかし、なかなかの効果ね。これは。あと一回分だけ使えるんだけど……」
ミサキが例の銃を片手につぶやく。
「もう一回撃ったらさらに大きくならないかな」
ジミ子がそう言うが、ミサキが否定した。
「説明書によると二度目はほとんど効果がないみたいなの。これ以上大きくしようとすると遺伝子操作とか必要になるみたい」
「遺伝子操作か…… ちょっと怖いな」
意外にもジミ子は踏みとどまった。
「そうね、そこまでする必要はないかもね」
ミサキも少しは抵抗があるようだ。
しかし、あの銃による豊胸と、遺伝子操作による豊胸。どこに違いがあるのだろうか。
彼女たちの良識のボーダーラインがどこにあるのか、僕には全く分からない。
時計をちらりと見ると、けっこうな時間が過ぎていた。
「まあ、残りの一回分は後で使いましょう、今日は解散しましょう」
ミサキに促されて僕らは帰宅する事にした。
「そうね、じゃあまた明日」
「うん、また明日」
ジミ子と挨拶を交わし、その日は別れた。
翌朝、僕とミサキが手を繋いで登校している最中だった。
「よ、お二人さん」
ヤン太に後ろから声をかけられて、僕らは振り向く。
「えい!」
ミサキは例の銃でいきなりヤン太を撃った。
「いてっ、なにすんだよ」
「ふふふ、これでヤン太も昇進する事になるよ!」
ミサキが笑顔で言うが、ヤン太は意味がまるで分からない?
「昇進? なんだそれ?」
「3日後のお楽しみ!」
この銃撃が元となり、のちにヤン太は二階級特進をする事となる。
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