開戦二日目 1
眠れない夜を迎えたが日は昇り、やがて朝を迎える。
僕は居間に行き、テレビのスイッチを付けた、家族はまだ起きてこない。
テレビを付けると、前線基地で攻撃の準備をしていた。
人類の攻撃は二日目に入ろうとしていた。
初日は兵器がハッキングされ、何一つ当たらなかった。
だが、今日は違う。宇宙人がハッキングなどの乗っ取りを行わないと宣言したからだ。
「こちら前線基地です。まずは少数のミサイル攻撃を仕掛ける模様です」
宇宙人側から『ハッキングは行わない』と宣言されたものの、軍部は彼らが本当に行わないのかは信用できないらしい。とりあえず様子見でミサイル攻撃をするようだ。
しばらくテレビを眺めていると、テレビ画面はモノリス付近の
「こちら、現場の福竹です。モノリスの経過時間の表示が2日目を過ぎました。
今、遠くの空から飛行機雲のようなものが見て取れます。
どうやらミサイルのようです。中国方面から20発。
日本、韓国方面からもやはり20発ほどのミサイルが飛んでいきます。
前回はあらぬ方向に飛んでいきましたが、今回はどうでしょうか」
僕は画面をじっと見守る。
ミサイルは、今度はまっすぐと目標に向かっていく。
そして、いよいよミサイルが着弾しようとしたとき、モノリス側から光の線が放たれる。どうやらレーザーのようだ。レーザーが当たるとミサイルはモノリスの手前で爆発した。
40発のミサイルは次から次へと迎撃されていく。
気がつけばモノリスに当たる事無く全て落とされていた。
「……全て、全て撃墜された模様です」
現場の福竹アナウンサーが、落胆した様子で伝えた。
つづいて迎撃された時のスローモーション映像が流れる。
映像では、レーザーが当たると、瞬時にミサイルが真っ白になって爆発した。
どうやら相当の熱量らしい。人類でもレーザーは武器として開発されているが、その威力は桁違いのようだ。
現代のイージス艦でもミサイル迎撃のシステムを持っている。
モノリスにも何らかの防衛システムが組み込まれていないとおかしいだろう。
さて、この後はどうすれば良いのか、僕なりに考えてみる。
もし仮にミサイルが直撃して無傷なら、わざわざ迎撃する必要は無いんじゃないだろうか?
これはミサイルが当たれば、モノリスにダメージを与える事ができるのかもしれない。
ではどうすれば、ミサイルを当てる事ができるのだろうか?
……数で押し切るしかなさそうだ。僕にはそれしか思いつかない。
ミサイルの数が40発では少なかったのだろう。
もっと同時にたくさん打ち込めば、いくつかは当たるかもしれない。
「速報が入りました、アメリカではミサイルを700発打ち込んだのですが、全て落とされたらしいです」
……これは数で押しても無理そうだ。
次はどうするのだろうと思っていると、また現場から中継が入った。
「現場の福竹です。見て下さい、戦闘機が攻撃を仕掛けます」
ミサイルの攻撃が、ほぼ不可能だと知った人類は、次に戦闘機を送り込むようだ。
下手をすると人命が失われるかもしれないが、この戦いには人類の
もし迎撃されるような事になっても、多少の犠牲はやむをえないだろう。
テレビの中では飛行機が2機、3機と編隊を組みモノリスへ向かって飛んでいく。
やがて戦闘機は増え続け、何十機という数え切れないような数になる。
そして、モノリスに十分に接近すると、それぞれが散り散りになり、攻撃をしかけた。
離れた位置からミサイルを撃つと、レーザーでたやすく撃墜されてしまう。
戦闘機はモノリスにギリギリまで近づいて、ミサイルや爆弾を放つ。
寸前のところで、ミサイルなどを発射するのだが、これらは全てレーザーによって打ち落とされてしまった。
残念な事に宇宙人の迎撃システムは完璧らしい。
ミサイルを撃ち尽くした戦闘機の何機かは、機銃をモノリスに向かって発射する。
しかし、どういう理屈か分からないが、放たれた機銃の弾丸は、モノリスの寸前の空中でピタリと静止してから、やがて重力によって海面に落ちていった。
これだけの戦闘機が飛び回っているのに、人類は全くダメージを与えられずにいた。
……どうすれば、あのモノリスを攻略できるのだろうか?
そういえば彼ら宇宙人は星間飛行をしてここまでやってきた。
宇宙を高速で移動すれば、時速何万キロといった速度で石や岩が宇宙船に当たってくるだろう。
もちろん、その石や岩石は何らかの装置でぶつからない様にするはずだ。
時速何万キロの超高速の石に比べれば、人類のミサイルのスピードなど取るに足らない早さだ。
たやすく対処されてしまっても不思議ではない……
考えれば考えるほど、モノリスは人類に攻略できない気がしてきた。
戦闘機の攻撃が一通り落ち着く。するとテレビは全く別の場所から中継が入った。
「こちら種子島宇宙センターです」
ロケットの発射台が画面に映った。
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