運命を決める記者会見 4
宇宙人が人類を支配すると言い出した。
星間飛行をたやすく行う彼らだ、その気になればあっという間に地球を支配することも、人類を滅亡させることも簡単にできるだろう。
彼ら宇宙人は、そのまま侵略行動に移るかとおもわれたが、人類に何かチャンスを与えてくれるらしい。
「仕方ない、ワレワレがアピールできる場所を用意しよう。
その目標が達成できたのなら、ワレワレは君たちの文化レベルの高さを認め。この惑星から手を引くヨ」
宇宙人がそう言うと、背後に大きな光のスクリーンが現れた。
僕ら人類は、なんとしてもこのチャンスをものにする必要がある!
光のスクリーンには宇宙空間を漂うモノリスが映し出されている。
「このモノリスの大きさは、縦1.7km、横0.9km、厚さ0.3kmの大きさだ。
これを今から地球の各所に配置するヨ」
後ろの光のスクリーンが、世界地図に変わり、その地図上に赤い丸が記された。
アメリカの南、メキシコ湾の海上。
ロシアの東南、カスピ海の海上。
イギリスとノルウェーの間、北海の海上。
地中海、イタリアのマルタ島の東の海上。
インドとスリランカの南。インド洋の海上。
ナイジェリアの南、ギニア湾の海上。
オーストラリアの北、インドネシアの東、バンダ海の海上
中国、上海の東に位置する、黄海と東シナ海の境目の海上。
陸からそう離れていない海上に、世界中にバランスよく赤い丸が配置されていた。
「この印の上空300メートルに、先ほどのモノリスを配置する。
あと、月と地球の間の宇宙空間に、もう一つ配置するヨ。
それで、話をもどすけド。この惑星の住人が、ほかの惑星の住人と比べて勝っている部分はなんだと思うかネ?」
各国のアナウンサーがこぞってこの質問に答えた。
「想像力ですか?」
「イイヤ、違うヨ」
「適応力ですか?」
「イイヤ、違うヨ」
「絵や音楽などの芸術性でしょう?」
「イイヤ、違うヨ」
「協調性とか?」
「イイヤ、違うヨ」
次々と意見が言われるが、どれも不正解らしい。
しばらくして発言が出尽くすと、宇宙人はこう切り出した。
「正解は、闘争本能の高さだヨ。この惑星では集団的な同種族殺しが起こるほど攻撃性が高いからネ」
「……」
宇宙人は、おそらく紛争や戦争といった事を指しているだろう。
「そ、そんなに珍しいことなんですか?」
レポーターが人類を
「君ら人類ぐらいの知性が居た惑星は75惑星有るといったネ。
その知性のレベルで集団的な同種族殺しが発生している惑星は、この惑星を含めて4つしかない。
普通は進化の
「……」
僕ら人類は、この発言に何も言い返せない。
アナウンサー達も誰もしゃべらず無言でいる。宇宙人は構わず話をづづけた。
「そこでダ、君らが日々
「それは『打ち落とせ』という事ですか?」
「ああそうだネ」
「全て打ち落とせば良いんでしょうか?」
「いや、一つでOKダ。
複数あるモノリスのうち、どれか一つだけでも機能不全に追いやり、水面に着水させた時点で君たちの勝ちとするヨ。
闘争本能や武力といったモノも重要な文化の一部だからネ。
もし撃墜できれば、君らの文化レベルの高さを認め、ワレワレはこの惑星の統治には一切関わらないヨ」
「おおー」「その条件なら、なんとかなるかもしれない」「これなら行けるかもな」
各国のアナウンサーが沸き立つなか、日本代表の
「あの、その、人類とあなたを含めた宇宙人の間で戦うことになるのですよね?」
「まあ、そうなると思ってくれて構わないかナ」
「この戦いで、人類にどの程度の犠牲は……」
そこで福竹アナウンサーは声を詰まらせた。
周りのアナウンサー達も事の重大性に気がつき、一気に悲壮な表情に変わっていった。
「アア、それは心配しなくてイイよ、ほとんど犠牲者は出ないと思ってくれて構わない。
ワレワレは攻撃してきた者や兵器に対して反撃はするが、こちらから非戦闘の一般人に手を出す事は無い。強く約束するヨ」
「それを聞いて安心しました」
福竹アナウンサーは
周りのアナウンサー達はこの質問に対して、盛大な拍手を送った。
拍手が収まると、再び宇宙人の説明が開始された。
「サテ、ルールの説明をするヨ。
期限は3日間。君たちにも準備は必要だろうかラ。5日後から開始とスル。
あと、核兵器は禁止ね。使用すると汚染が酷いからネ。
ただし、宇宙空間に設置するモノリスに対しては核兵器での攻撃をしてもイイヨ。
では、君たちの文化レベルの高さを見せてくれたまエ」
一方的な宣言をすると、宇宙人はやってきたモノリスの中へと帰って行く。
続いてモノリスに『ゲーム開始マデ』という文字が現れ、またカウントダウンが始まった。
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