私小説部分
第47話 入院、退院
わたしは何度も倒れて、プログラミング学校を辞めることになった。
少しずつ体調を戻しながらそれでも『陽の差す方へ』が『結局何者にもなれなかった』というのは面白い小説ではないというただそれだけのことに縋っていた。
一日三十分から少しずつ身体を戻し、そんなこんなで久しぶりに小説を書いている。
ここで主人公を倒れさせればドラマチックだとか考えもせずバタバタと倒れたのだった。
文章にも入力違いが多く本調子じゃない気がする……。
あぁ、モノが二重に見える、医者は脳神経科の受診を勧めた。
わたしは結局のところ、脳腫瘍だった。
脳神経から大きい病院を紹介され、MRI、中ほどの腫瘍が見つかったのだ。
「手術で取ってしまいましょうね」
と女医は明るく言って、わたしは軽い手術なら、と簡単に首を縦に振った。
入院の日付も決まって、息が苦しくて少し早めに入院した。持っていったのは少しの文庫本とスマホと耳栓、音楽プレーヤー、少しのお金。あとは言われたもの。
そのまま、何せ脳に腫瘍があるので難しいことが考えられないから文庫本も読めず小説を書くなんてもってのほか、ドラえもんの漫画などを読みながら、水ばかり飲んでは病院食に付くアイスクリーム(わたしは食欲が無かったのだ)を楽しみにする生活が二週間ほど続いただろうか、手術の日がやってきた。母が心配して手術の間待っているというので、そんな長い間待たなくてもいいと笑って、わたしは手術室へ行った。
「麻酔で寝てしまいますからね」
女医の先生は言って、そのとおりになった。
何日経ったか、わたしが起きて、麻酔が覚めた時、手術は終わっていた。
そのベットのままICUで一日を過ごす。
次の日からゆっくりと点滴を外しリハビリをして、乾いていたから相変わらず水ばかり飲んで、MRIを取ったり、「まだあるはず」とどこかで勘違いしているのか、めまいに悩まされたりしながら、それでも少しずつ回復していって、入院して一か月したころにはリハビリのかいもあって退院の許可が出た。
もちろん、どこに外出するにも付き添いはいるしまた前みたいに遠出はまだできない。
毎年楽しみにしていた超会議にも行けない。
それでも楽しみなことはある。
入院中プログラミングの勉強は出来なかったけれど、時々スマホで他人のコードを見て復習していた。そんななか、Twitterでフォローしているプログラミング関係の人から、ある日TLに流れてきた。「プログラミング教えます」だ。
何かの完成を目指すなら応相談。学校も途中になってしまった。これだ。
わたしは早速彼に連絡をとり、まだいつとかどことかは決めていないけれど、とにかく細かい話を少し進めた。
もしかしたら、猫を鳴かせるところまで進められるかもしれない。
そしたら、あとは増やして、変えればいい。
手術は成功して、退院した。
当分はリハビリしなければいけないから、家に戻っても思っていたみたいに正社員でのプログラミングの仕事は無理だろう。
まだ近所に行くのにも付き添いが必要なのだ。
ということで、実は入院中に少し決めてきた。
わたしは確かに今体力が無いから、とりあえず通う仕事はしばらくやめにしようと思ったのだ。
確かリモートワークといって、家で組んだプログラムを送ればいいものがあったず。
退院したらプログラミングの腕試しに、何か期間の長い軽めのリモートワークを調べてみようかと思ったのだ。
退院後少しずつ、一日にほんとうにちょっとずつ、体力を戻しながら、Lancersを見る。
簡単に見つかると思っていたのに、なかなか、というより、無い。
代わりに見つかったのはコーディングのいらないHPデザイン。
そしてアプリ開発の、契約の募集がある。
もちろん東京の会社には通えないので、条件を見る。まだスキルが足りないみたい。
というかいつか自分でアプリ開発の会社を立ち上げることになったならば、フリーランスにはこのぐらい払えばいいのか、なるほど。
明日もっと色々なサイトで色々な方法で仕事を探してみよう。
そうだ、そろそろProgateも再開しようかな。復習だからしばらくは無課金でいい。
わたしはしばらく探し、まだ仕事を貰うというレベルなのかがわからないのでクラウドソーシングで適当なプロジェクトを見つけ、とりあえず期限はともかく「注文通りに」できるかどうかだけでもローカルでやってみようと思った。
ところがeclipesにTomcatを入れて、動的なプロジェクトを作るのが上手く行かない。あぁもう。構築環境を作るのが一番難しくてそこで挫折する人も多いって聞いたけれど……職業訓練でやったことを思い出して懸命に検索し、なんとかなった。
Android studioがわたしのでは動かないらしいのがショックだったけれど、まぁeclipesに慣れればいいか。
適当なプロジェクトは当に締め切ってしまってどんなのだったかわからない。とりあえずHTMLとCSSだけで簡単な自サイトを作ってみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます