第46話 たまにこんな。

ケチャップやマヨネーズぐらいならアメリカンドッグやサラダの買い物でもらえるらしいので、とりあえずケチャップとマスタードのセットを貰って来た。これは何かに使おう。買ってきたホットドックは適当な大きさに切る。メインはもちろんおにぎり、そして野菜ジュースに一個のベビーチーズだ。

 まず野菜ジュースを軽く沸かす、そこにおにぎりを入れる。ご飯が煮えたらお皿によそって、切ったアメリカンドックとチーズを散らす。まだコンビニに売っていそうなものから離れられない。

 バランス的にはここでお野菜が欲しいんだけれど……サラダはやっぱり高いので、枝豆の冷凍を買ってきた。じゃがいもだけスーパーで買ってきて、レンジでふかしてじゃがいもとお豆のサラダを作る。

 それからこの鶏肉のボイル。サラダに使える。スープにちぎって入れるのはどうだろう?料理の無駄にも私はぬかりがない。今日のお夕飯のことは言ってある。これのことだ。少しずつ分かって来た気がしたけれど今日はこれまで。

 私はさっそくそれを写真に撮ってブログに上げた。

 ふと見ると、ブログに新しく読者がついていた。

 プロフィール画像の笑顔も自信に溢れた、若々しい料理の先生だった。

 私はその名前を聞いたことはないと思っていたけれど、検索したらその人の出した料理本が出て来た。

 早速私も読者申請して、ふと、その教室に行ってみようと思った。

 静かな住宅街の白い壁、高級そうなお家に先生の教室はあった。

 カラカラ、ドアのベルが鳴る。

「あら、いらっしゃいませ」

「……あの、えっと……」

そういえばこういう時インターネットで使っている名前を名乗った方がいいのだろうか?

「あなた始めて?今日はね、アヒージョ作っているの」

清掃のいきとどいた清潔な家にお呼ばれして、私はあわてて持っていったエプロンを着て、とりあえずしいたけの石づきを外しだした。

「体験?」

「えぇ」

私は曖昧にしていた、一体どのタイミングでHNなどを言えばいいのだろうか、というか、そもそもインターネットで会う約束などしていなかった気がする。

 アヒージョは油だけで、野菜と魚の汁だけで煮る。シンプルなぶん味の調整が難しい料理だけれど、先生は難なく作ってみせた。

 私もいつかあんな風に、なんでもできるように見えるのだろうか?どうも私は完璧さとは縁遠い、引っ込み思案で平凡な主婦だけれど、あこがれの像なら……。

 それから私はそんなに遠くもないこともあって週一だけれどアルバイトの無い日に料理教室へ行くことにしたのだ。メニューが増えるというので二人が喜んだのは他でもない。

 先生は私を優子さんと言った、わたしも先生を智美さんと呼んだ。

 けっこうおっちょこちょいのところもあるのよ、と言った先生は、私にもレシピを教わったりして、とても豊かな時間が流れた。

 コンビニの材料での料理の話が、なんとなく流れた後だった。

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